コクヨならではの付加価値を磨きグローバルでも 勝負する―黒田英邦社長に聞く

コクヨは近年、アジアに照準を定めてグローバル展開に注力してきました。黒田英邦社長は今後はアジアの先にも 、コクヨならでは、日本企業ならではの付加価値の提供に力を入れているといいます。
同社のグローバル戦略と今後のビジョンについて、書籍『クロスカルチャー・マーケティング 日本から世界中の顧客をつかむ方法』の著者でオーストラリア・シドニーを拠点に活躍するマーケター・作野善教氏が聞きました。
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アメリカでの経験がグローバル化の原点

作野

:今は社長としてコクヨの海外展開を指揮する黒田さんですが、入社前はアメリカで留学していましたね。

黒田

:オレゴン州ポートランドのカレッジで2年間留学しました。その後、シカゴにあるコクヨのシカゴ支店でインターンシップをしていました。

作野

:シカゴでのインターン時代のコクヨはどんなことを強みに営業されていたのでしょうか。

黒田

:ステーショナリー(文房具)のアメリカ向けの輸出を立ち上げるマーケティングを担当する部署にいました。個人的には日本のステーショナリーに可能性を感じていましたが、会社としてはやはり北米市場の規模を考えてどれだけ量を取れるかが重視されていました。現地の感覚では新しさやニッチなニーズにお客さまからの評価を得ていたのに、本社は量を求めている。そこにギャップを感じていました。

黒田英邦
くろだ・ひでくに コクヨ代表取締役社長。2001年4月コクヨ入社。オフィス家具事業の法人営業、経営企画部長、子会社コクヨファニチャー社長などを経て、2015年より代表取締役社長に就任。2021年2月、長期ビジョンを発表し、企業理念を「be Unique.」に刷新。同年11月、第3次中期経営計画「Field Expansion 2024」を発表。変化する顧客ニーズを捉え、働き方や学び方の新しい体験を次々と生み出していくことで、持続的な成長の実現に取り組んでいる。

当時はまだテストマーケティングの段階だったと思うのですが、規模を追いかけると大手流通のシェアを取らなければならない。そのためにはコクヨという企業や日本のステーショナリーが持つユニークさは評価の対象ではなく、納品価格や販促費をどれだけ負担できるかという話しかなかった。その条件も日本でのビジネスより、ゼロがいくつか多い規模を求められていました。

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