エビデンスの蓄積で市場開拓
ロッテは2月1日に、チョコレートが心にもたらす効果を研究する新事業「ちょこっと幸せ研究所」を設立する。チョコレートと幸福度の関係性を科学的に証明するため、大学の研究者と協力して実証実験や調査を行う。研究成果をSNSやメディアで発信することで「心の健康増進」を目的とした購入を増やし、売上伸長につなげる狙い。チョコレート事業の売上は5年間で2023年度比20%増を目指す。
チョコレート事業は1964年2月に発売した「ガーナ」から始まり、今年2月に60周年を迎える。原材料高騰で昨年9月にチョコレートの出荷価格を最大16%値上げしたが、2023年4~12月の同社売上は前年比6.3%増、ガーナの売上も同8.6%増となった。
顧客調査の結果、値上げ後も購入する理由として「気持ちを癒してくれるから」と回答した人が多かったことから、身体だけでなく精神的にも幸福な状態である「well-being(ウェルビーイング)」の観点でチョコレートの付加価値に注目。より確かなエビデンスを収集するため研究所を設立した。現時点では薬機法の観点からパッケージなどに研究成果を載せることはできないが、将来的な制度改正を見据えて先行的に知見を蓄積したい考えだ。
研究所では、慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科の前野隆司教授などのウェルビーイングの研究者との連携も行う。設立前から、前野教授が提唱する幸福につながる因子とチョコレートとの関係性を解明するための調査などを実施している。
2023年9月15~20日には前野教授監修で「チョコレートの喫食と幸福度に関する調査」を実施した。全国の20~60代男女で、チョコレート、米菓、キャンディ、ビスケット・クッキー、ポテトチップスのいずれかを週1回以上喫食している人(計2000人)が対象。調査の結果、チョコレートの所持やシェアで幸福を感じる人は、ほかのお菓子よりも多いことが判明した。チョコレートを食べる頻度や食べ方による幸福度の違いなども検証した。
1月30日には研究所の設立発表会をメディア向けに開催。事業のプレゼンテーションや前野教授を交えたトークセッションを行った。研究所責任者の中村準氏は「チョコレートで明るい社会にできるというエビデンスを提供したい」と意気込みを語った。
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