中国禁輸で苦境のホタテを救え ベイシア、国内消費を拡大する応援フェア

実店舗の強み生かして水産業界を盛り上げる

処理水を巡る中国の禁輸措置で苦しむ水産業界を応援するため、小売店は国内需要の創出に向けた施策を推進する。東日本を中心にスーパーを展開するベイシアは、北海道産ホタテを販売する「ホタテ応援フェア」を開催した。加工ホタテのほか、ホタテを使用した寿司や弁当もラインナップ。片貝約2万枚、貝柱約230キロ、寿司用ホタテ約4万8000艦分、貝ひも約540キロなどを仕入れ、116店舗で数量限定販売を行った。期間は4月3~7日。ホタテの仕入れや販売を通じて水産業界に貢献することが狙いだ。

写真 人物 ベイシア青梅インター店の笠井氏(左)と沓澤則彦副店長(右)
ベイシア青梅インター店の笠井氏(左)と沓澤則彦副店長(右)

函館税関によると、2023年の北海道からの魚介類の輸出額は前年比76.1%の約633億円で、3年ぶりのマイナスだった。水産各社は殻付きホタテの在庫を大量に抱えているが、日本では人手不足の影響で加工作業が追い付いていない。生鮮品ECを運営するフーディソンは解決策として海外での加工に着目。水産卸のエビス商会と水産商会のオーシャンロード、ノースイなどと協業してベトナムを視察し、海上コンテナ1本分の殻付きホタテ約23万枚を各社で販売するに至った。フーディソンと関係があったベイシアも取り組みに賛同し、フェアを実施することとなった。

フェアは水産庁が制定した「さかなの日」(毎月3~7日)に合わせて開催した。期間中は特設コーナーを設置。商品点数やサイズのラインナップを増やし、様々な用途でホタテを楽しんでもらう。売り場のポップでは、処理水放出後の禁輸措置でホタテ生産者が苦境に立たされている現状を解説。ホタテをただ販売するだけでなく、課題をより多くの人に知ってもらい、日本産水産物のおいしさを知ってもらうきっかけにしたい考えだ

ベイシア青梅インター店の鮮魚担当である笠井快氏は「ホタテは冬には鍋の具材、夏にはバーベキューの食材として1年を通して人気の商品」と話した。特に人気があるのは食べやすい蒸しホタテで、バーベキューのために週末に購入する人が多いという。

写真 店舗・商業施設 フェアのために用意したホタテの特設コーナー
フェアのために用意したホタテの特設コーナー。ポップなどでフェアの背景などを解説している

広報室の松田詩織氏は「消費者の関心は高く、お客さまの中で『食べて応援する』という意識を持つ人が増えていると感じる」と話す。需要創出には実店舗の存在が欠かせないとし、SNSやチラシなどで1人でも多くの人に足を運んでもらいたいという。生産者を応援し、日本の水産業界を盛り上げるため「ホタテをお客さまにアピールすることが私たちの使命」と意気込みを語った。

ベイシアは日本の水産業界を応援するため、2023年10月3~7日に青森県産ホタテの販売も実施した。きっかけは9月にベイシア前橋みなみモール店(群馬県前橋市)で実施した青森県むつ市のフェアで、ベビーホタテが完売するほどの人気を博した。取引先から中国の禁輸措置の影響について確認したことから、改めて10月にベビーホタテを展開するフェアを約120店舗で開催。売り上げは計画比130%と盛況だった。

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