日本のイベント制作のプロたちは、サステナビリティ先進国のオランダ・スウェーデンで何を体験し、学んできたのか?電通ライブは2023年に2カ国でのべ24カ所を視察、14企業にインタビューするツアーを実施しました。11月8日に発売した新刊『サステナブル×イベントの未来』では、その体験からの学びを、サステナマインドのヒント「12のマインドスイッチ」に凝縮して解説。本記事では、そのひとつをご紹介します。
「ごみ」は「ごみ」ではないかもしれない?と疑ってみる
私たちが普段当たり前のように「ごみ」と呼んでいるもの。でもそれは、本当に「ごみ」なのでしょうか?
オランダには、独自のアプローチで建築業界のサーキュラーエコノミーに取り組む会社があります。それが、建築物の資源循環に関するデータプラットフォーム「マダスター」を運用するマダスター・サービス社です。アムステルダムの郊外、緑豊かな場所に彼らの拠点はあります。元々は軍用地だった場所で、事務所になっている建物も1960年代に建てられた入隊者のための施設でしたが、1980年代に入って難民のための保護施設として使用されることになったそうです。
マダスター・サービス社が入居するコミュニティスペース「DE GROENE AFSLAG」。 オランダで「緑の始まり」を意味する。(撮影:松野良史)
施設が役割を終えた後に、建物を取り壊し、高級住宅街を作る計画が立ち上がり、取り壊されるまでの使用契約で入居していたところ、オーナーの方針変更でクリエイティブやサーキュラーを実装する拠点として維持することとなり、今に至っています。
私たちを迎え入れてくれたパブロ・ヴァンデンボッシュさんは私たちにこう問いかけます。「私たちの住む惑星である地球は閉ざされたシステムであり、外から何も入ってこないし、出ていくこともありません。それなのに、なぜ我々はごみが出てしまう前提の経済システムを作ってしまったのでしょうか」。
