本コラムでは、インドの都市プネーで開催された二つの広報・PR関連の国際イベント、「PRAXIS 2024(プラクシス2024)」と「IPRN AGM 2024」へ、筆者が現地参加した際に得た知見や抱いた所見を読者のみなさまにお届けします。昨年、プエルトリコの首都サンファンで実施されたイベントを元にした同シリーズは、こちらです。
筆者は、コミュニケーション・広報のコンサルティング会社Key Message International(KMI)の代表取締役をしています。昨年同様に、これまで国内/外資のファームなどで積んだ、デジタル・グローバルな広報・PR経験をふまえながら、グローバルPR市場からの知見や課題を独自の視点からお伝えします。
筆者は、コミュニケーション・広報のコンサルティング会社Key Message International(KMI)の代表取締役をしています。昨年同様に、これまで国内/外資のファームなどで積んだ、デジタル・グローバルな広報・PR経験をふまえながら、グローバルPR市場からの知見や課題を独自の視点からお伝えします。
本コラムの3回目は大学生に対して、卒業後のキャリア選択肢の中からPRを選んでもらうための事例をインドから、4回目は小中学生と協力して盛り上げたイベントPRの事例を同じくインドから紹介しました。
そして5回目の今回、お国は変わってスウェーデンから、こちらも若い力を前面に押し出したPR事例を紹介します。
首都ストックホルム市が巨費を投じたシステムが大不調
スウェーデンの首都ストックホルム市内の学校で使われているスクールマネジメントシステム(校務や学習進捗管理、学内の情報管理プラットフォームなどを含むオンラインシステム)に、ストックホルム市は1億ユーロ(記事執筆時点のレート換算では、160億円ほど)を費やしたものの、そのシステムへ使われたテクノロジーは時代遅れでシステムは不人気に陥り、悪評が高まっていました。
そのようなシステムを実際に使っていて不便を覚えた当時弱冠20歳の若者、アドリアン・アンダーソン氏は2020年、仲間たちと開発した新しいオンラインプラットフォーム「Meitner(以下、マイトナー)」を引っ提げて起業しました。
マイトナーとは、核分裂の発見などに大きく貢献し、スウェーデンでも研究活動をつづけたオーストリア出身の物理学者、リーゼ・マイトナー(Lise Meitner)の名字をとって、名付けられたとのことです。原子番号109番目の元素であるマイトネリウムも、彼女の名前に由来しています。