ホチキスを資源と見ることができるか?
川上
:「はじめに」に120分~180分で読めると書いてあり、あとがきのストーリーまで、音部さんの心遣いを感じる書籍でした。内容ももちろん素晴らしく、会う人会う人に勧めています。後世に残る名著だと思います。
音部
:ありがとうございます。光栄です。
川上
:日本を代表する大手も含め、さまざまな企業の方と接することがありますが、この本に書かれているような「戦略」の概念をもっとみんなが理解していれば良い方向に変わっていくのに、と思うことがあります。
今はあらゆる企業が中計(中期経営計画)や長計(長期経営計画)を立てていますが、これらは戦略ではなくて計画ですよね。KPIは設定されていますが、その根拠がないまま計画に入っていくところに日本企業の問題があると思っています。
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川上智子(かわかみ・ともこ)/早稲田大学ビジネススクール教授。国際的な学術誌に論文を多数発表。早稲田ブルー・オーシャン戦略研究所創設者、『ブルー・オーシャン戦略』著者キム=モボルニュとケース共著。コペンハーゲンビジネススクール客員教授、ハワイ大学客員研究員他を歴任。2017年アジア・マーケティング研究者トップ100に選出。コトラー著Essentials of Modern Marketing (近刊)の監訳も務める。
経営戦略もブレイクダウンするといかに数字を達成するのかという事業戦略に落とし込まれるので、数値化され計測できるものではあるのですが、その根拠がありえないものになっていると感じることがあります。
音部
:立てた計画が、後でうまくいったかどうかをKPIで測ることはできますが、計画がA、B、Cとあるときに、どの計画がいいかを判断するには戦略がないとできません。なのに戦略なしに判断をするから情実意思決定のように見えてしまいます。

