BtoBメーカー発「SALWAY」、「再生処理機器」のブランド化で新規受注数32%増

医療機器を輸入・販売するBtoBメーカーの名優が2023年6月に立ち上げた医療器材の再生処理プロダクトブランド「SALWAY」。エイトブランディングデザインがサポートし、売上や事業規模を順調に拡大している(『ブレーン』2025年3月号「未来の社会を共創 企業とクリエイター『事業』との向き合い方」特集からの転載記事です)。

再生処理の啓蒙のためのブランド

実データ グラフィック

「再生処理」とは、医療機関の診療や手術などで使用された医療器材を洗浄・滅菌して、安全に再使用できるようにする業務のこと。各病院内の「中央材料室」という部門などで行われている。再生処理が適切にされなければ、医療行為が細菌やウイルスによって別の病気の引き金にもなりかねない。極めて重要な業務だが、実は病院で働く人でもその存在を知らない場合があるという。日本で滅菌のプロセスを検証・点検している医療機関の割合は欧州より各段に低く、日本の再生処理は欧州より20年遅れているといわれている。

そんな日本の再生処理の精度向上と、重要性の啓蒙のために誕生したプロダクトブランドが、SALWAYだ。名優が輸入・販売する一連の再生処理製品をブランド化したもので、エイトブランディングデザインが事業戦略の立案からコンセプト開発、ロゴ、パッケージ、ブランドムービー、オウンドメディアのコンテンツ制作をサポートしている。ブランド開始から約1年半、2024年12月時点のSALWAY全体の売上は、前年同期比で約26%増、新規受注数は32%増加。メーカーから自社製品をブランドラインアップに加えてほしいといった相談がきたりと、競争力を高めているという。

写真 実データ

名優のプロダクトブランド「SALWAY」。再生処理の達成基準である「無菌性保証水準(Sterility Assurance Level)」の略称「SAL」と、その実現を目指す道「WAY」をあわせた造語。2024年度グッドデザイン賞金賞受賞。

デザインの力で経営改善

エイトブランディングデザインに名優から連絡があったのは、2021年5月。当初の相談は、サージカルマスクのブランディングについてだった。代表の西澤明洋さんは、「コロナ禍で、毎年70以上出展していた展示会の多くが中止となり、売上のためにも自社の高性能なマスクをBtoCで販売することを考えたそうです。ただヒアリングを進めると、マスクに限らずブランディングに取り組むことで、現状を突破したい思いがあることがわかりました」と振り返る。

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