生活者の意識・行動の変化が激しい時代。生活者の支持を得るブランドになるためには市場の動向に合わせてスピーディーな意思決定も必要です。こうした市場で顧客を増やし成長を遂げるスタートアップ企業では、どのようなマーケティング戦略が企画され、また実行されているのでしょうか。新興企業の戦略から新しいマーケティングの方法論を導き出します。
※本記事は月刊『宣伝会議』8月号の連載「急成長スタートアップ企業に聞く!『わが社のマーケティング戦略』」に掲載されています。
MOONRAKERS THECHNOLOGIES
設立年 2022年6月
従業員数 約10名
事業概要 微量生体成分分析技術の開発、及び超小型かつ超高速分析装置を用いたヘルスケアサービスの展開
セルフケアの習慣化を通じて医療費増大の抑制を目指す
高齢化社会の日本において、医療費の増大は深刻な社会課題となっている。その解決策のひとつが「予防医療」だ。病気になる前の段階から介入することで健康を維持し、医療費の抑制を図る試みで、予防医療の市場は世界的に見ても拡大傾向にある。この分野において新たなアプローチから、超小型、超高速分析装置を用いたヘルスケアサービス事業を展開するのがヘルステック企業のPITTAN社である。
同社は、小型体液分析マシン「Pitagoras」をはじめとしたプロダクトを通じて、従来は研究室などの専門施設でしか実現できなかった生体分析を、より多くの人が手軽に利用できるサービスとして提供を開始している。CEOの辻本和也氏、CTOの児山浩崇氏、東京大学薬学系研究科准教授の角田誠氏によって設立された同社の出発点は、京都大学で半導体技術を使った電子部品の小型化とヘルスケア領域への活用を研究していた辻本氏の「この技術を社会実装したい」という想いだった。
しかし、国民皆保険制度により、低価格で安定的に医療を受けられる環境が整っている日本では、健康の維持・増進に対して積極的にお金を払う意識が低く、ヘルスケア市場でビジネスを行う際の足かせとなっていた。「国民皆保険は素晴らしい制度です。しかしこの制度のために、アメリカのように民間保険を活用する国と比べて、予防医療への意識が相対的に低いという課題もあります」と同社COOの西川嘉紀氏は話す。こうした社会において、「Lifelong Positivity~生きるを、楽しみきる~」というビジョンのもと、予防医療を根付かせることで、健康寿命の延伸を目指すのがPITTANのミッションだ。
…この続きは7月1日発売の月刊『宣伝会議』8月号で読むことができます。

