東京・名古屋で約10万人が来場した展覧会「行方不明展」を手がけた、気鋭のホラー作家・梨と、株式会社闇、「イシナガキクエを探しています」「飯沼一家に謝罪します」などで知られるテレビ東京プロデューサー・大森時生が再度タッグを組んだ展覧会「恐怖心展」が7月18日に始まった。
「恐怖心展」は東京・渋谷のBEAMギャラリー4階で開催中。「存在に対する恐怖心」「社会に対する恐怖心」「空間に対する恐怖心」「概念に対する恐怖心」と4部構成で、「先端」「閉所」「視線」といった約50個の何らかに対して抱く「恐怖心」を展示する。今回は、7月16日に行われたプレス向け内覧会の様子をお届けする。
存在に対する恐怖心。「そこにあるもの」がこわい
最初の展示は「存在に対する恐怖心」。つまり「そこにあるもの」への恐怖心で、「先端」「血液」「毛髪」など何らかの実体を伴う、身近にある恐怖について紹介している。ハサミ、鉛筆、錐など鋭利なものが所狭しと陳列され、来場者に先端が向けられ、ゾクッとする。ほかには普段見えないはずの微生物や細菌が可視化される保健室だよりのような展示物も。
微生物に対する恐怖心
社会に対する恐怖心。「それになること」がこわい
続いては「社会に対する恐怖心」にまつわる展示。家族・会社・国などあらゆる社会(共同体)のなかで生じる「存在しない」ものへの恐怖心を紹介している。前パートと違い実態がないものが多く、恐怖心は自身のアイデンティティを投影し、多様な恐怖心を生み出していることがうかがえる。たとえば、とある29歳の男性が購入した老化防止のサプリメントの大量の空き瓶や、個人ブロガーが「買ってよかった4選」に選んだ臭気測定器などが展示されているが、これらは人の社会的営み(コミュニケーション)の中で生まれる恐怖心だ。


