ギネス認定の90歳、DJ SUMIROCKが現代の広告に思うこと―「私の広告観」出張所

月刊『宣伝会議』では、社会に大きな影響を与える有識者が、いまの広告やメディア、コミュニケーションについて、どのように捉えているのかをインタビューする企画「私の広告観」を連載中。ここでは「私の広告観 出張所」として、インタビューの一部や誌面では掲載しきれなかった話をお届けします。今回登場するのは、77歳でDJデビューし、83歳で「最高齢のプロフェッショナルクラブDJ」としてギネス世界記録に認定され、今もクラブフロアを沸かせているDJ SUMIROCKこと岩室純子さんです。

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岩室純子さん

(DJ SUMIROCK)

1935年、東京生まれ。父はジャズミュージシャン。1954年に父が始めた餃子店「餃子荘ムロ」で66年間店頭に立ち続け、現在は引退している。2013年からDJスクール「IDPS」に入学し、本格的にDJを始める。83歳の時に「最高齢のプロフェッショナルDJ」としてギネス世界記録に認定され、現在までDJの活動を国内外で続けている。本名の「岩」と「純」にちなみ、DJ SUMIROCKと名乗る。

Q.なぜDJを始めることになったのでしょうか。

私は数年前まで、1954年に父親が始め家族で経営する餃子店「餃子荘ムロ」で働いていました。食べた時のお客さんの笑顔が嬉しくて、毎日店に立ち、66年間料理を出し続けました。

「餃子荘ムロ」での岩室さん。

そんななか、店でアルバイトをしていた女性から「フランス人の友達が日本に住みたくて家を探している」と相談を受けて。ちょうど自宅に空いている部屋があったので「うちに住んだらいいわよ」と快く引き受けました。

来日したフランス人青年のアドリアンは当時21歳で、孫のように可愛がりました。アドリアンとは今でも仲が良く、互いに誕生日パーティーを催したり、故郷のフランスに一緒に遊びに行ったりしています。

日本ではイベンターとして、DJイベントなどを開催していた彼に誘われてイベントに何度か足を運ぶうちに、「純子もDJやってみたらどう?」と(笑)。

ただ、言われてすぐにはピンと来ませんでした。私の好きな音楽はジャズ。他のジャンルはなんだかよくわからなかった。でも、ちょっとターンテーブルを回してみたら、その感触が面白くて、やってみたい!と思えたんです。

Q.そこからDJのスクールに通われたのですね。

そうです。77歳の時にDJスクールに入学しました。週に1日授業があったのですが、先生と楽しくおしゃべりしながら、やり方を教わりました。曲と曲をつなげるところがすごく難しくて、覚えるのに苦労しましたね。

83歳でギネス世界記録に認定されましたが、それって私がこの年齢だからでしょ?と。これからも練習を継続して、年齢ではなくプレイで評判になりたいです。

実際にクラブで活躍する岩室さん。90歳になっても、月に1~2回はDJとして活動している。

Q.岩室さんは国内外のテレビCMにも出演されていますが、広告に対してお考えのことはありますか。

テレビCMは国内外の企業を含めて複数本出演しました。どれも楽しかったですね。いい人生経験になりました。

ただ、広告を出す企業はその広告によって自社の利益につなげられることが大事だとは思うものの、私は見る人にもきちんと価値ある広告であってほしいなと思います。例えば新しい知識が得られたり、見ていて楽しい気持ちになれたりするものが好ましいですね。

実は広告を卒業して商社で働いた後、デザインの学校に通ったことがあって、広告やデザインにも以前から関心があります。

最近は、ひとつの広告のなかに、情報がたくさん詰め込まれすぎていると感じます。見た後に、「今のCMって結局、何を言いたかったの?」と記憶に残らないものが多くて。

昔はね、頭痛薬の“ケロリン”の広告のように、直接的でシンプルにわかりやすいものが多かったんです。

もちろん、今はその時代から何十年も経って、最新鋭のデジタル機器を使ってすごく複雑で綺麗な広告がつくれるから、昔と今を単純に比較することはできない。でも、見た人が幸せな気持ちになること、それは不変のテーマとして、広告をつくる人たちに求めたいですね。

…DJ SUMIROCKさんのインタビュー記事全文は、月刊『宣伝会議』2025年8月号に掲載しています。

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