最近の試合風景から。打撃と守備でチームを盛り上げる西川愛也選手。
こんにちは。西武ライオンズ広報部長の赤坂修平です。
初回のコラムでは、「広報はどうやって売上に貢献できるのか?」というテーマのもと、我々がKGIに「ファンクラブ会員数」を据えている理由をお話ししました。
ファンクラブの加入料は直接的な売上ではありますが、それだけでなく、熱量の高いファンの存在そのものが“空気”を生みます。この「空気づくり=世論形成」も私たち広報の重要な仕事だと考えています。
では、その“空気”はどうやってつくるのか?
私たち広報の仕事は、商品やサービスそのものを直接つくったり、売ったりすることはありません。私たちが手がけるのは、その“周囲の空気”です。
つまり、商品が自然と欲しくなるような雰囲気をつくり出すこと。人の心を動かす「空気感」を演出することで、結果的にその商品が売れる環境を整えていく──それが広報にできる貢献のひとつだと考えています。
今回は「空気感の演出」、“話題”をどう生み出すか、どう買ってもらいやすい空気をつくり出すか、そしてどうメディアに「取材したい」と感じてもらうか――そのための考え方や実践についてお話ししたいと思います。
「自分たち発信」ではなく、“第三者の評価”で信頼を得る
2025年5月、ライオンズサマーブルーユニフォームの発表会から(提供:西武ライオンズ)。
「空気感の演出」のために、メディアは非常に大きな力になります。
自分たちが「この商品はいいですよ」とどれだけ声を大にして発信しても、なかなか消費者の心には響きません。なぜなら、世の中には物を売ろうとする情報があふれていて、受け手である消費者はそれに対して無意識のうちに構えてしまっているから。
だからこそ、“第三者の評価”を通して伝えることが重要になってきます。世に言う「ウィンザー効果」です。
メディアの存在は、まさにその役割を果たしてくれます。自分たちが直接「いい」と言うのではなく、信頼ある第三者が取り上げてくれることによって、納得感や信頼感が生まれる。だから広報の役割は、単に情報を出すことではなく、「どうすればメディアが取り上げたくなるか」を考え抜くことなんです。その演出力が、広報にとって非常に重要だと私は思っています。
「10のネタ要素」でつくる“仕掛けの設計図”
私が日々、意識していることがあります。それは、ひとつのニュースや情報をメディアが取り上げてくれるかどうかは、「話題性の掛け算」で決まる、ということです。
私はこれを「10のネタ要素」と呼んでいます。
それぞれ単独でもニュースにはなり得ますが、組み合わせることで“ストーリー”が立ち上がるのです。
1.季節性(シーズナリティ)
2.社会性(社会的関心)
3.グローバルトレンド(世界の潮流)
4.時事性(ホットニュース)
5.社会課題(解決提案型)
6.数字・ランキング(定量的インパクト)
7.人・ストーリー(ヒューマン要素)
8.新規性・初(ニュースバリュー)
9.コラボ・アライアンス(異業種連携)
10.周年・記念日(タイミング活用)
これらをただの“情報のタグ”ではなく、「文脈の種」としてとらえ、組み合わせていく。このうち1つに当てはまるものは多くありますが、複数が掛け合わさることでより強いストーリー性が生まれて、納得感が出る。そうすることで、メディアの視点でも「これは報じるべき」と思ってもらえる“ニュースとしての厚み”が出てきます。
「ボジョレーヌーヴォー×スキー場」──話題は掛け算で生まれる
私がこの考えに至った原体験のひとつが、若かりし頃、リゾートホテルで広報をしていたときのことです。
昨年度のコラム「西武ライオンズ広報へ突然の異動…『観客動員数最下位』から始まった」でも触れましたが、軽井沢プリンスホテルスキー場の取材誘致で苦労しているなか、「ボジョレーヌーヴォーの解禁」がひとつの契機になったとお話ししました。
この企画はメディアにも多数取り上げられ、苦戦していた時期の取材誘致に明確な突破口を開いてくれました。
この時は「季節性」、さらに「社会性」「新規性」「時事性」が掛け合わさったストーリーだったのです。

