「伝える」から「伝わる」へ~『だれでもPRメソッド』に寄せて(川名由紀)

「いい取り組みのはずなのに、なんだか伝わらない…」

『だれでもPRメソッド』は、そんな企業広報のモヤモヤに寄り添ってくれる一冊。PRの本質を丁寧に紐解きながら、実務に直結する思考と手法が体系的に示されています。本書でも書かれているとおり、日常のコミュニケーションでは、自然に相手の状況や気持ちを考えて伝え方を工夫するのに、「会社の取り組みの発信」となると、「伝えたい!伝えなくては!」という想いが先行しがち。本書はそんな実態を理解しながら「どうすれば伝わるのか?」という視点に立ち戻らせ、伝え手と受け手との「接点」を見つける重要性に改めて気づかせてくれました。こうした考え方を社内で共有し始めたところ、たとえばプレスリリースを書くとき、たとえばSNSで発信するとき、施策担当部も発信担当部も「受け手との接点」という共通の価値観を持って議論ができ、軸がブレづらくなったと実感しています。

加えて、考え方だけではなく、すぐに実践できるメソッドも惜しみなく紹介されています。なかでも「PR IMPAKT®」は、情報をどう磨けば効果的に伝わるのかを明確にしてくれる思考フレームです。プレゼンテーションやスピーチなど、PR領域に限らないあらゆるビジネスシーンに応用可能なツールとして、私自身も知ったその日からさまざまな場面で活用しています。

当社は人事異動が頻繁にあり、さらに広報業務を担う社員は全国各地にいます。そのような中で本書は、ベースとなる考え方を共有し、ノウハウを継承していくガイド的存在になってくれると思っています。そして今、「伝わるように伝える力」が求められる場面は、広報にとどまりません。近年では「良い会社」の定義も変化し、売上や実績だけでなく、社会にどのように役立っているか、社会とどんな関係を築いているかが大切にされるようになってきました。営業や企画、人事など、社会と関わるすべての人にとって、伝え方や関係を育む力はますます重要になっていると言え、本書の考え方や手法は、そうした日々のコミュニケーションにも大いに役立つ内容だと感じています。

「伝える」から「伝わる」へ。

そのヒントがぎゅっと詰まったこの一冊は、広報担当者はもちろん、多くのビジネスパーソンにおすすめしたい本です。

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川名由紀(かわな・ゆき)

日本航空 広報部 企画グループ マネジャー

現所属に着任するまで広報経験はなく、「未経験の自分でもよりよい広報活動をするには?」「社内に専門人材が少ない中で、組織として広報力をどう高め続けるか」を模索する中で本書と出会い、思考法や手法に深く共感。

『広報・PRの現場直送 だれでもPRメソッド スルーされない 伝わる情報設計』
著者:電通PRコンサルティング PRX Studio Q
定価:2,200円(本体2000円+税)

強い思いを持って、丁寧に情報を発信しているにもかかわらず、メディアやユーザーに全く伝わっていない。そんな経験をしたことがある人は多いのではないでしょうか?本書では「どうすれば伝えたいことがスルーされずに伝わるのか?」という観点から、電通PRコンサルティングの若手プランナー陣が現場で実際に使っているスキル・暗黙知をメソッド化し、多くの図解と共に解説。特に広報・PRに携わる人が現場で困ったときにすぐに活用できる、実践的な手法を掲載しています。
 
また、本書にはハフポスト日本版 泉谷由梨子編集長、note プロデューサー 徳力基彦氏、タレント・子育てインフルエンサー 木下ゆーき氏、ホテルプロデューサー 龍崎翔子氏のインタビューも掲載。事例やインタビューを通して、「どうすれば伝えたいことがスルーされずに伝わるのか?」という観点から、PRの本質的な考え方と実践的なメソッドを紹介します。
 
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宣伝会議 書籍編集部
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宣伝会議書籍編集部では、広告・マーケティング・クリエイティブ分野に特化した専門書籍の企画・編集を担当。業界の第一線で活躍する実務家や研究者と連携し、実践的かつ最先端の知見を読者に届けています。

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