“遊ばれる広告”のつくり方─1.6億インプレッションの裏側|面白法人カヤックの「その手が、あったか。」 其の4

宣伝会議の教育講座に、面白法人カヤックの特別クラス「おもしろ突破塾」が開講。担当するクリエイティブディレクター5名による面白法人流の企画術を全5回でお届けします。第4回は「深夜ラーメンの誘惑」「ジムビームコーラで俺のターン!!!」などを手掛ける安藤耀司さんです。

広告とゲームをつくるクリエイター

こんにちは!面白法人カヤックでクリエイティブディレクターを務めている安藤耀司(あんどうようじ)と申します。好きな食べ物はお酒に合うもの、趣味は川柳を詠むことです。

カヤックでは、プロモーションを目的としたコンテンツをつくることが多く、最近では「深夜ラーメンの誘惑」などを担当しています。“商品が中心にいる話題化コンテンツ”をつくるのが得意分野です。

一方で、個人的な活動も含め、謎解きやボードゲーム、体験型イベントの企画プロデュースも行っています。洋酒×ボードゲームのコミュニティ「LIQUOR GAMERS CLUB」では主宰を務め、これまで8作品のボードゲームを開発、販売しています。ゲーム開発は、一見広告の仕事とは無関係に思えますが、企画を考える上でのヒントを与えてくれる重要な活動となっています。

広告は「体験」として消費される

ここ数年、広告の現場で感じるのは、生活者が広告を「情報」としてではなく、自分が参加した「体験」として語ることが増えてきた、ということです。気になって参加したポップアップイベントや、駅ナカで見かけたOOH広告、たまたまタイムラインに流れてきたWebCM。そういったものに対し、生活者が自分なりの発見や気づき、感想を持ち、SNSにポストする。その瞬間、広告は「体験」として消費されるのです。

昨今の「謎解き・脱出ゲーム」や「イマーシブシアター」をはじめとする体験型コンテンツの盛り上がりは、この変化を端的に示しています。従来の演劇では、人々は「観客」として作品を見て楽しむ形でしたが、イマーシブ演劇では、観客は登場人物の1人となり、物語のなかで行動を起こす「プレイヤー」となります。

この流れを広告にあてはめると、従来型の「情報価値のある広告」から「体験価値のある広告」へのシフトが求められていると考えられます。つまり、主体的に参加し、アクションを起こし、自分なりの感想を持ち帰り、他者とシェアしたくなる──そんな「体験」を提供できる広告こそが、現代では強い魅力を発揮するのです。

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