「宣伝会議のこの本、どんな本」では、当社が刊行した書籍の内容と性格を感じていただけるよう、「はじめに」や識者による本の解説を掲載しています。今回は、9月16日に発売した新刊『新版「欲しい」の本質 人を動かす無自覚な欲求「インサイト」の見つけ方』(大松孝弘、波田浩之著)の「はじめに」をご紹介します。
人の「欲しい」をわかりたい
人は、何を求めているのか?
たくさんの人が、それを知りたいと思っています。求められているものがわかり、それを提供することができれば、商品をヒットさせられる。人の心をつかめる。ビジネスを成功させられる。その手がかりが得られます。人が何を求めているか、すなわち人間の「欲求」は、どうすればわかるのか?この本は、それを知りたい人のために書かれています。
「それなら、その人に聞けばよいのではないか?」と考える方もいるでしょう。そこで、あるエピソードをお話ししましょう。日本マクドナルドが、売上が低迷していた頃(2000年代の前半)の話です。売上を回復させる手がかりを得るために、「マクドナルドになぜ来てくれないのか」と消費者へのインタビューで聞きました。すると、「ヘルシーなメニューを食べたい」「サラダを置いてほしい」といった声が多く寄せられました。
そこで、そのお客様の声から作られた新商品「サラダマック」が導入されました。多くの人が欲しいと言っていた、ヘルシーで野菜が食べられるメニューです。しかし、発売後に売上は伸びず、ほどなく商品は撤退することになってしまいました。その後、今度はハンバーガーの肉の量を大幅に増やした「クォーターパウンダー」「メガマック」といった商品を発売しました。これが大ヒットして、マクドナルドは好調さを取り戻しました。