最新論文に学ぶ「カテゴリー成長と未顧客を取り込むヒント」

AdverTimes.と日本エビデンスベーストマーケティング研究機構(EBMI)による「マーケティング論文輪読会」の第3回が6月26日に開催されました。今回取り上げたのは474の消費財カテゴリー、13年分のデータを分析し、カテゴリー成長の本質的なメカニズムと、カテゴリー規模に応じた戦略の“型”を提示した論文『How categories grow: The behavioural drivers of revenue growth』。
 
書籍『戦略ごっこ』(日経BP刊)の著者でありEBMI研究主幹の芹澤連さんをホストに、パネリストにはエーザイ コンシューマーhhc事業部ブランドマネジメント部アジャイルマーケティンググループ グループ長の樋口慎司さん、タイミーのマーケティング本部に所属する増尾速哉さんが参加し、カテゴリー成長に関して議論を深めました。

カテゴリー成長に最も寄与する要素は何か

今回のテーマとなったのは「カテゴリー成長」だ。カテゴリーの研究はそもそも非常に難しく、貴重である。というのも、自社の顧客や購買に関するデータを入手することは、事業会社であれば比較的容易だが、カテゴリーの研究となると1社だけでなく競合他社も含めたデータが何年分も必要となる。それも分析可能な質のものを収集するのは相当骨が折れる。

今回取り上げた論文では、474カテゴリー、13年分のデータを分析している。「これは非常に貴重な研究です。カテゴリー成長に関する経験的一般化という面で信頼のおける発見があるのではないかと考えています」と、芹澤さんは期待を寄せた。

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本題に入り、まずは研究の概要を明らかにする問いが投げられた。本論文が突き止めた最も重要な発見をカテゴリーの「成長」と「縮小」という両面から考えてみようというものだ。本論文では、「カテゴリー浸透率」「カテゴリー購入頻度」「1回の買い物あたりの購入数量」「ボリュームあたりの価格」の4変数のうち、どれが最もカテゴリーの成長や縮小への影響が大きいのかを調べている。

「論文では浸透率が40%以下の小~中規模のカテゴリーでは、浸透率の増加がカテゴリー成長に大きく寄与するとされていました。一方、浸透率が40%以上の大規模・成熟したカテゴリーでは、ボリュームあたりの価格の上昇が成長ドライバーになるようです」(樋口さん)

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芹澤 連(日本エビデンスベーストマーケティング研究機構(EBMI)研究主幹/コレクシア執行役員)
芹澤 連(日本エビデンスベーストマーケティング研究機構(EBMI)研究主幹/コレクシア執行役員)

マーケティングサイエンティスト。数学/統計学などの理系アプローチと、心理学/文化人類学などの文系アプローチに幅広く精通。非購買層やノンユーザー理解の第一人者として、消費財を中心に、化粧品、自動車、金融、メディア、エンターテインメント、インフラ、D2Cなどの戦略領域に従事。エビデンスベースのコンサルティングで事業会社の市場拡大を支援する傍ら、執筆や講演活動も行っており、企業研修などの講師を務める。著書に『顧客体験マーケティング』(インプレス)、『“未”顧客理解:なぜ「買ってくれる人=顧客」しか見ないのか?』『戦略ごっこ―マーケティング以前の問題 エビデンス思考で見極める「事業成長の分岐点」』(日経BP)。
日本マーケティング学会員。日経クロストレンドアドバイザリーボード。海外論文を読むのが日課。猫好き。

芹澤 連(日本エビデンスベーストマーケティング研究機構(EBMI)研究主幹/コレクシア執行役員)

マーケティングサイエンティスト。数学/統計学などの理系アプローチと、心理学/文化人類学などの文系アプローチに幅広く精通。非購買層やノンユーザー理解の第一人者として、消費財を中心に、化粧品、自動車、金融、メディア、エンターテインメント、インフラ、D2Cなどの戦略領域に従事。エビデンスベースのコンサルティングで事業会社の市場拡大を支援する傍ら、執筆や講演活動も行っており、企業研修などの講師を務める。著書に『顧客体験マーケティング』(インプレス)、『“未”顧客理解:なぜ「買ってくれる人=顧客」しか見ないのか?』『戦略ごっこ―マーケティング以前の問題 エビデンス思考で見極める「事業成長の分岐点」』(日経BP)。
日本マーケティング学会員。日経クロストレンドアドバイザリーボード。海外論文を読むのが日課。猫好き。

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