鬼滅の刃、世界で記録的ヒット いま、日本IPビジネスに何が起きている?

なぜ今、IPビジネスが国内で注目されているのか

『劇場版「鬼滅の刃」無限城編』が世界興行収入ランキングで記録的なヒットとなっている。2020年に社会現象となった『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』から期間が空き、原作漫画の連載も既に終了しているにも関わらず、その人気は国内外で衰えることなく再び大きな熱量を生み出している。

(参考)「鬼滅の刃」無限城編の驚異的ヒットはなぜ起きた? 劇場への“熱狂”を生んだ、新たな方程式とは:まつもとあつしの「アニメノミライ」(1/2 ページ) – ITmedia NEWS

©123RF

日本発の漫画やアニメをはじめとするコンテンツが巨大な経済効果を生む現象を受け、政府もコンテンツ産業を次なる基幹産業の一つとして位置づけている。エンターテインメント業界だけでなく、経済界もIPビジネスの「可能性」に注目している。一方でその背景で起きている「構造変化」については、まだ十分に理解されているとは言えない。

IPビジネスの定義と広がり

そもそも、なぜ今「IPビジネス」という言葉がこれほどまでに使われるようになったのか。

一つは、ユーザーの行動の変化だ。いわゆる「推し活」に代表されるように、ユーザーはもはや受け身ではない。作品の世界観を深く解釈し、SNSで発信・交流し、時には二次創作を通じて、IPの価値形成に能動的に関わるようになった。このムーブメントの広がりは、もはや従来の「マンガ」「アニメ」といったジャンルや、単体の「作品人気」だけでは説明がつかない。

こうしたユーザー側の変化は、ビジネスサイドの構造にも変容を迫っている。「アニメビジネス」や「コンテンツ(=中身)ビジネス」といった従来のカテゴリ型の事業展開では、機会損失が生じることが明らかになってきたからだ。

例えば、アニメというテレビ・配信メディアを起点とした「新作」に重点をおいたビジネスの枠組みに拘っていると、過去作品のSNSなどでの海外でのユーザーの突発的な盛り上がり(スパイク)を起点とした大型タイアップや、異業種とのコラボレーションの可能性を逃しかねない。

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日本発IPはどこへ向かう? 今さら聞けない現在地と進化論
まつもとあつし(ジャーナリスト、研究者)

ジャーナリスト・研究者(専修大学文学部ジャーナリズム学科特任教授)。NPO法人アニメ産業イノベーション会議(ANiC)理事長。ITベンチャー・出版社・広告代理店・映像会社などを経て、現職。ASCII.JP・Yahoo!ニュース個人などに寄稿。著書に「コンテンツビジネス・デジタルシフト」(NTT出版)「地域創生DX」(同文館出版)など。取材・執筆と並行してコンテンツやメディアの学際研究と教育を行っている。

まつもとあつし(ジャーナリスト、研究者)

ジャーナリスト・研究者(専修大学文学部ジャーナリズム学科特任教授)。NPO法人アニメ産業イノベーション会議(ANiC)理事長。ITベンチャー・出版社・広告代理店・映像会社などを経て、現職。ASCII.JP・Yahoo!ニュース個人などに寄稿。著書に「コンテンツビジネス・デジタルシフト」(NTT出版)「地域創生DX」(同文館出版)など。取材・執筆と並行してコンテンツやメディアの学際研究と教育を行っている。

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