今や海外旅行をする際、SNSで情報を得ることが必要不可欠な時代です。かつてはガイドブックやガイド付きの団体旅行に頼ることも一般的でしたが、現在はFIT(Foreign Independent Tour=個人旅行)が主流となっています。
訪日インバウンド市場において、アジア諸国からの若年層は主要なプレーヤーです。しかし、この個人旅行を前提とする時代において、同じアジアの若者といえども、彼らの情報収集や購買に至るプロセスは国ごとに大きく異なります。
今回は、中国・韓国・台湾の3カ国の具体的なメディア行動と購買ジャーニーを比較解説します。彼らがどのようなメディアを使い、どのように情報を得て、最終的な購買に至るのか。その行動様式を深く理解することが、今後のプロモーション戦略の鍵となります。
中国:リアルな情報が詰まった「統合SNS経済圏」を周遊
中国の若年層は、旅行の意思決定において極めて実利的な価値観を持ちます。彼らは、Douyin(抖音)、RED(小紅書)、WeChat(微信)といった中国独自のスーパーアプリを横断的に使いこなし、情報収集に留まらず購買までを一気通貫で行う「統合SNS経済圏」で行動しています。
彼らの特徴は、「購買はリアルに宿る」という、実体験に基づいた声を重視する考え方です。単に「映える」画像や「いいね」が多い人気の投稿だけでは信用せず、UGCであっても、その投稿の信頼性を厳しく見定めます。判断基準となるのは、写真がきれいなだけでなく、「説明文のリッチさ」や情報が濃密に詰まった「投稿の中身力」です。また、「いいね」数やコメント数も、情報の質を測るフィルターとして機能します。
