世界5大広告賞の一つ「London International Awards(LIA)」の、「Creativity in PR」部門に、PRストラテジストの本田哲也氏が日本人初の審査員として参加した。その概要と、開催地の米ラスベガスで目にした透明性と教育性に貫かれた審査文化、そして受賞作について本田氏が紹介していく。
5大広告賞の一角、独自のスタイルを貫くLIA
LIAは1986年に創設された国際的な広告賞で、世界5大広告賞のひとつ。特筆すべきは創設以来、40年にわたり完全女性経営で運営されていることだ。参加者はアートディレクターやコピーライター、PRなど、エージェンシー側のプロフェッショナルたち。授賞式や派手なパーティーは一切なく、ひたすら審査に集中する「職人肌」の運営スタイルも特徴的だ。
さらに「教育的役割」も大きい。LIAは次世代クリエイターを対象とした教育プログラム「CreativeLIAsons(クリエイティブ・リエゾン)」を実施しており、世界中から選ばれた約130人の若手が参加する。参加費・滞在費・旅費のすべてをLIAが負担するという、他にはない教育支援の姿勢も特徴的だ。
筆者も審査の合間に、世界的PR会社のクリエイティブリーダー3人とともに、教育プログラムに参加する若手に向けたパネルディスカッションに登壇。PRにおけるクリエイティビティの本質について語り合った。
世界的PR会社のリーダーたちとのパネルディスカッションの様子
徹底した“対面審査”が生む透明性
審査プロセスも独特だ。事前の一次審査は一切なく、全審査員がラスベガスに集まり、その場で全てのエントリーを評価する。これは、エントリーの文化背景を理解した上で審査を行うため。筆者も過去の審査で覚えがあるが、エントリーにはその国の文化背景を知らないと「?」となる場合がある。ひとりで審査していると評価しづらいが、LIAでは審査員がお互いにそのサポートすることができる。また、審査の議論の場には参加者の誰もが自由に立ち会うことができる。これも、LIAが重視する「透明性」の現れだ。
「Creativity in PR」部門には、世界中から約200のエントリーが集まった。10人の審査員が3日間にわたり、全作品を一つずつ丁寧に審査していく。
初日は審査員全員がラウンジのような審査室に集まり、タブレットで2分ほどのエントリームービーをひたすら見続け、個々に「残すべき」作品を決定していく。2日目には、残った約120件に、1から10までのスコアをつけていく。
コーヒー片手に初日に7時間、2日目は5時間、そして最終日には9時間をかけた審査の様子
そして迎えた最終日、スコアが上位の作品から「GOLD」「SILVER」「BRONZE」、そして部門最高賞「GRAND LIA」を決定する。一つひとつのエントリーに5〜10分。「この施策が生まれた文化的・社会的背景は何か」「この施策は本当にEarned Ideaなのか(PR発想のアイデアか)」という議論を、残された作品全てに行っていく。

