スポーツとポップカルチャーの交差点、ライブやフェスと同じ「体験型の文化消費」に
さて今回は「コンテンツ」を広義で捉え、スポーツについて述べてみる。これまでスポーツとポップカルチャーは長らく別の文化領域として語られてきた。しかし21世紀に入り、両者の関係は飛躍的に近づき、新しい市場を形成している。かつては野球やサッカーの観戦は「勝敗を見届ける行為」と捉えられていたが、現在では応援そのものがライブやフェスと同じように「体験型の文化消費」として位置付けられるようになった。さらにデジタル化の進展により、eスポーツが世界規模で爆発的に成長し、従来のスポーツの枠組みを超えたカルチャー現象を生み出している。
その根底には「応援=消費行動」という構造がある。ファンはチケットを買い、グッズを購入し、それらをSNSで発信することで、単に選手やチームを支えるだけでなく、「応援している自分」を表現する。応援は個人的な感情の発露にとどまらず、共同体を形成し、消費を通じて市場を拡大する力を持つようになった。
野球とサッカーの違いで見る 地域性と国際性が生む「応援文化」
野球は日本において最も長い歴史を持つプロスポーツであり、応援文化の発展が顕著な競技である。プロ野球のスタジアムでは、応援歌や鳴り物を駆使した集団応援が行われる。タオルやメガホン、ユニフォームなどのグッズは観戦体験を彩ると同時に、ファン同士の一体感を高める。これらの消費は単なる物品の購入ではなく、「共に応援している証」として機能している。ライブ会場でペンライトを振る行為と同様に、応援グッズはコミュニティ参加のパスポートとなっている。