テレビCMなしOOH×サンプリングで初動2000万本突破 午後の紅茶が挑んだエントリーモデル戦略

発売からわずか11日で年間販売目標の9割を達成し、2週間足らずで2000万本を突破──。2025年9月に登場した「午後の紅茶 FRUITS & ICE TEA」が、清涼飲料市場で注目を集めている。背景には、紅茶市場の活性化を担う“エントリーモデル”としての明確な狙いと、徹底した市場設計・コミュニケーション戦略があった。マーケティングを担当したキリンビバレッジの大澤寛文氏に、開発の背景から初動ヒットの理由、そして今後のブランド戦略までを聞いた。

「午後の紅茶」の第三の柱に

「午後の紅茶 FRUITS & ICE TEA」は、午後の紅茶シリーズにおける“第三の柱”として企画された。既存の「午後の紅茶 ストレートティー」などの定番商品や「午後の紅茶 おいしい無糖」が確立している一方で、“日中のリフレッシュ用途”に適した紅茶はまだ弱かったという。

大澤氏は「日本では紅茶はまだ“特別なときに飲むもの”というイメージが強い。渋みや苦みが気になる、日常のどんなシーンで飲めばよいかイメージがないというバリアがあり、普段飲む習慣が浸透していません。そこで、紅茶をもっと親しみやすくし、普段紅茶を飲まない人にも手に取ってもらえるエントリー商品が必要でした」と開発経緯について語った。

前年発売した「午後の紅茶 FRUITS ADE」の反省も活かされた。同商品は方向性としては近かったが、「紅茶なのかフルーツなのかわかりにくい」「400mlで“特別感”が強い」など、日常使いの飲料としては課題が残った。今回の「FRUITS & ICE TEA」では、直感的においしさを感じる液色、ゴクゴク飲める味設計、甘さを残さないすっきり感など、日常シーンでの飲みやすさを徹底的に追求したという。

テレビCMなし。街・SNS・店頭をつなぐ

初動好調の裏側には、テレビCMを使わない独自の戦略があった。8月末の発表会でメディア向けに商品の狙いを説明し、9月9日にブランドサイトを公開。同23日の週には東急沿線での大規模サンプリング(約8000人)、東京・大阪・名古屋の駅構内や鉄道車内でのOOH展開と、“街での遭遇体験”を短期間で一気に積み上げた。

MAGNET by SHIBUYA109 エントランスイベントスペース、KITTE名古屋 1Fアトリウム、KITTE大阪 1F多目的広場で10月11日から13日まで開催された「午後の紅茶 FRUITS & ICE TEA STAND」

5人のアーティスト・イラストレーターとコラボしたオリジナルデザインのクリアバッグ「午後ティーフルーツバッグ」を抽選でプレゼントするキャンペーンをキリンビバレッジ公式Xアカウントで実施

特にSnow Manメンバーの目黒蓮を起用したビジュアルは大きな話題を呼び、SNS上でも自然な拡散が進んだ。「視聴習慣の変化もあり、テレビだけで届けるよりも“巷で話題になっている感じ”をつくるほうが効果的だと判断しました。OOHとデジタルの組み合わせで、さまざまな接点で興味を喚起することを最重視しました」(大澤氏)。加えて、1カ月間の「5つのデザインから選んで、その場で当たる!午後ティー フルーツバッグ キャンペーン」も大きな成果を生んだ。初週9.3万件、最終22万件の応募が集まり、そのうち約21.4万がユニークユーザーだった。

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