6割の企業で「人材不足」と「人材過剰」が同時発生 アビームコンサルティング調べ

アビームコンサルティングは、日本の企業内における人材ミスマッチの実態を明らかにするため、人事・経営企画部門に所属する管理職500人を対象に調査を実施した。

調査の結果、約6割の企業で「人材不足」と「人材過剰」が同時に発生しているという、企業内の構造的な人材ミスマッチの実態が明らかになった。

不足も過剰も発生していないのは5%

「全社で、人材不足の部署はあるか」との質問に対しては7.2%が「全部署で発生」、40.2%が「多くの部署で発生」、42.4%が「一部の部署で発生」と回答しており、計89.8%が人材不足を認識している。

他方、「全社で、人財過剰の部署はあるか」との質問に対しては、「全部署で発生」が3.8%、「多くの部署で発生」が17.0%、「一部の部署で発生」が42.8%と、計63.6%が人材過剰があると回答した。

61%の企業で「人材不足」と「人材過剰」が同時発生しており、いずれも発生していない企業はわずか5%にとどまるなど、構造的なミスマッチが広く浸透している実態が明らかになったという。

調査結果では、これを「量のミスマッチ」としている。

人的資本投資のROIの可視化・改善を提言

他方、「質のミスマッチ」と「報酬のミスマッチ」も明らかになった。

質の面では、「職務やポジションに求められる要件を満たしていない人材」についての発生有無について、計88.2%が発生していると回答。また、「本人の能力に対し、職務やポジションの要件が小さいことがある」についての発生有無は計79.8%が発生していると回答した。世代別に見ると特に30代・40代の働き盛り世代で能力が活かしきれず、社内の流動性の低さが浮き彫りになったとしている。

報酬についても、約8割で成果と報酬が一致しない報酬ミスマッチが発生。「ジョブ型制度の導入が進む中でも年功的な運用が残ることで、人材の滞留や配置の硬直化を招いている実態が明らかになった」とする。

調査結果を受け、アビームコンサルティング 執行役員・プリンシパル 人的資本経営戦略ユニット長の久保田勇輝氏は「背景には、事業ポートフォリオの変革スピードに対して、職務設計や人材配置が追随できていない構造的な課題がある」としたうえで、「経営戦略と連動しながら、スキルギャップや社内流動性などの指標を継続的にモニタリングし、人的資本投資のROIを可視化・改善することが、企業の持続的な競争力強化につながる」とコメントしている。

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