TikTokが利用客の増加に貢献 セブン銀行とオプトが評価する理由を聞く

セブン銀行は、個人向けカードローンのプロモーションにTikTokを活用し、利用客の増加などの効果を上げている。音声のアテンション効果を生かした楽曲風のクリエイティブでポジティブな利用シーンを喚起。利用客が審査を通過した割合を示す「認可率」をKPIに掲げ、利用客の増加に寄与しているという。セブン銀行の高橋航氏と、デジタルマーケティング支援を行うオプトの野嶋友博氏に聞いた。

視聴体験を広告が邪魔しないのがTikTok

セブン銀行は、ATMをはじめとする豊富な顧客接点を生かし、個人向けカードローンのプロモーションに注力している。主戦場であるデジタルマーケティングの強化、ROASの向上を目的に、2025年6月からこの領域に強みを持つオプトをパートナーに諸施策を展開している。

リテール戦略デザイン部の高橋航氏は、その背景と日頃のプラットフォームの選定について次のように話す。

「以前は、間口を広くして新規顧客との接点を最大化する方針を掲げていましたが、その結果お客さまの審査をお通しできなかったり、ご契約後の返済が困難となってしまったりするケースが課題として見えてきました。そこでKPIや運営体制を見直し、そのタイミングでオプトの皆さんとの協業が始まりました。

デジタルマーケティングの領域は環境変化のスピードが速いので、プラットフォーム選定や予算配分を当初から固めすぎないようにしています。『まずはやってみる』というスタンスで試すことも多く、結果を見て都度柔軟に調整していくことが多いです」

セブン銀行 リテール戦略デザイン部 調査役 高橋航 氏

セブン銀行カードローンのニーズは、突発的な出費への対応と、「何かをしたい」という欲求を満たすための資金補填という、大きく2つに分けられる。高橋氏はTikTokを選んだ理由について、「『何かをしたい』というニーズに対し、動画と音声でイメージを伝えやすく、他のプラットフォームと比較してもアプローチがしやすい」点を挙げた。

TikTokの国内月間アクティブユーザー数(MAU)は4200万を超える()。オプトの野嶋友博氏はTikTokユーザーの「視聴態度」を高く評価する。

※TikTok調べ。ユーザー数はTikTokとTikTok Liteのユーザー数(重複を除く)。

「没入感があり、広告体験もユーザーにストレスを与えにくい。レコメンドシステムによるターゲティングとクリエイティブの結びつきも巧みで、効果的なアプローチができるのがTikTokです。ユーザーはあまり興味がない広告はスワイプできるので、視聴体験を広告が邪魔することがありません。一方で、本来スワイプされてしまいがちなコンテンツもちゃんと見てもらいやすい点や、ターゲティングの機械学習も優秀です。エンタメ性の高いクリエイティブが受け入れられやすい土壌がある点も、他のプラットフォームにはない強みだと感じています」

オプト プラットフォームサクセス本部 専門役員 野嶋友博 氏

“目的が明確な借り入れ”に訴求した、音を駆使したクリエイティブ

セブン銀行は2つのTikTokアカウントを運用し、オプトはその1つを担当している。これは、広告在庫の広さや各社のノウハウ、クリエイティブのバリエーションを最大化するためだ。「ダブルアカウントによる自社アカウント同士のカニバリゼーション(共食い)も懸念していましたが、TikTokは広告在庫も広く影響は軽微と考えています。それぞれの代理店さんが持つノウハウや、クリエイティブが大きく異なるため、別々のアカウントで実施することで、より良い状態を目指しています」と高橋氏は説明する。

オプトは当初から、突発的な資金需要よりも、明確な目的があっての借り入れに対するサービスの想起について、セブン銀行の強みを生かしたプロモーションの余地があると考えていた。

日本全国のセブン-イレブン店舗や商業施設、観光地、空港や駅などに2万8000台以上設置されているATMでいつでも、どこでも借り入れできることがセブン銀行様の強み。例えば海外旅行や資格取得のような『何かをしたい』というニーズに応えられる、『セブン銀行カードローン』から、『やりたいことをあきらめているあなたへ』とメッセージを送るアプローチを取りました」と野嶋氏。

多くのクリエイティブを試し、効果の高いものに絞り込んでいった

特に注力したのが、「音」を活用したクリエイティブだ。TikTokでは音声をオンに設定しての視聴がメインのため、聴覚情報も重要な訴求ポイントとなる。歌をメインにしたクリエイティブを数多く制作し、運用しながら絞り込んでいくことで効果を高めている。

「セブン銀行様のベネフィットを、楽しさや目的達成の想起につながるよう、聴覚情報と視覚情報をセットで訴求する『ダイレクト・ミュージックビデオ・クリエイティブ』も開発しました。このクリエイティブは、申し込み単価を約80%に抑えることができ、広告効果に大きく貢献しています。金融機関という制約の中で、このような挑戦的なクリエイティブに取り組んでいただいている点も、セブン銀行様の強みだと感じています」と野嶋氏は手応えを語る。

オプトの独自ツールを活かし、最適なTikTok広告を追求

広告効果を高めるためのPDCAサイクルは、週次のミーティングでのデータ分析と、生成AIやオプト独自の運用システムを活用した自動化の2軸で実施している。

「広告の数字と、セブン銀行様がお持ちの申し込みデータを照らし合わせ、効果のあった施策について毎週議論しています。他のプラットフォームとも横断的に比較し、見解を共有しながらPDCAを回しています」(野嶋氏)

さらにオプトは、TikTokのレコメンドシステム の特性をもとに最適な施策を推測する、独自開発によるツール「Murmuration(マーマレーション)」を活用。伸びやすいクリエイティブのスコア化を行い、AIが評価する「TikTokのレコメンドシステムの科学」を追求している。このツールを用いて、どのような入稿方法や配信設定がスコアを最大化するのかを日々検討し、PDCAを回す。

オプトの独自ツール「Murmuration(マーマレーション)」を活用し、TikTok上の最適なクリエイティブ配分を調整している

セブン銀行が重視するKPIのひとつが、審査通過を指す「認可率」だ。今回の施策でもこのツールを用いることで、より親和性の高い層に響くクリエイティブを見つけ、協業4カ月でTikTokからの新規申込数を昨年同期間比400%と拡大させながら、認可率は+3ポイント改善するなど、集客規模拡大と親和性の高い層の増加の双方の実現につながっている。高橋氏は、「『本商品を利用できる顧客層』のもとに届けられているかどうかの1つの判断軸」と捉えている。

カードローンのポジティブな利用シーン訴求

今後のTikTokの活用について高橋氏は、「ニーズが顕在化していない層にも情報を届け、セブン銀行カードローンの良さをより多くの方に知っていただき、カードローンサービスの利用につなげていきたい」と、認知拡大にもつながる施策に広げていきたい意向を示した。「お金を借りる」ことへの漠然とした不安を解消し、「体験を先に得て、後で貯める」というカードローンのポジティブな側面を伝えたいという。

「今は利用客との接点づくりをメインで活用していますが、顕在化する前の層にもアプローチできたらと考えています。また、なぜ選ばれているのかという本質的な理由を、潜在的なレベルで理解したいという思いもあります。TikTokを通じて、その理解を深め、さらなる拡大につなげていきたいです」(高橋氏)

野嶋氏も、「ミドルファネル、つまり検討段階前のお客様へのリーチや、選ばれている理由の可視化に注力したい」と先を見据える。TikTokからの直接的な申し込みだけでなく、間接的な貢献度も可視化していくことで、セブン銀行の事業拡大に貢献していきたい考えだ。

「お客様の目先の課題解決だけでなく、新しい気づきを提供し、事業拡大のお手伝いをしていくことがミッションだと考えています。TikTokというプラットフォームには、まだまだできること、見えていない可能性がたくさんあるはずです。 それらを可視化し、セブン銀行様に寄与できるような価値を提供していきたい」と野嶋氏は意気込みを述べた。

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