1億IDのデータを活用、ドコモ×電通のマーケティング支援はどう進化していくのか

NTTドコモは、約1億IDにのぼる国内最大級の顧客基盤データと先進的なAI分析技術を活用し、企業のマーケティング戦略を高度化するための支援を行っている。ドコモが保有する会員情報を1つのIDに統合し、オンライン・オフラインの行動データを連携することで、実施から効果検証までを最適化することができるという。

2025年12月に都内で開催されたAdvertising Week Asia2025で、ドコモのマーケティングソリューション事業を統括する石橋英城氏と、パートナーである電通 統括執行役員の深田欧介氏が登壇。マーケティングにおけるデータ活用や両社の協業についてそれぞれが解説した。

質の良いデータなしに、AIは機能しない

電通の深田氏は冒頭、デジタル化の進展によって多くのデータが取得可能になった一方で、その活用には多くの企業が複雑な課題を抱えていると指摘した。具体的には、データ分析人材の不足、分析結果の活用方法、部署間のデータ連携の障壁、そしてデータの質の問題などが挙げられる。

電通が提唱する「Marketing For Growth」は、こうした背景を踏まえてクライアントの事業成長をあらゆる方面から支援するもの。マーケティングプロセスにおける「誰に」「どんな価値を」「どう体感してもらうか」という各施策と、事業成果への貢献度をデータでつなぎ、共通言語化するという考え方だ。深田氏は、このモデルを人体の血液循環にたとえ、「データが動脈としての血液であり、そこから得られた示唆を基に想像力や経験を掛け合わせる人が静脈の役割を担う」と説明した。

NTTドコモ 執行役員 コンシューマサービスカンパニー マーケティングソリューション統括長 石橋英城 氏(左)と電通 統括執行役員(マーケティング) 深田欧介 氏

AIの活用において、この思想はより重要性を増す。深田氏は、「質の良いデータがないとAIは機能しない」と述べ、質の高いデータを学習させることこそが、AIと共に人の価値を最大化する上で不可欠であるとの考えを示した。

深田氏は続いて、ドコモのデータクリーンルーム「docomo data square」が持つユニークな価値を強調した。2020年8月から提供が開始されたこのサービスは、クライアントが保有するファーストパーティデータとドコモのデータを掛け合わせることで、顧客理解の深化や効果測定を支援するものだ。

ドコモのデータがユニークである点として、深田氏は「位置情報の変化」からリアルな行動変容を捉えられること、アプリの起動ログ、そしてdポイントやd払いなどの購買トランザクションデータが豊富にあることを挙げた。これらの多様なデータを組み合わせることで、「顧客市場の行動を可視化できる」と語る。例えば、スポーツコンテンツのファンを分析する際に、球場訪問者、テレビ観戦者、ファンクラブアプリ利用者などを横断的に分析し、真のファンインサイトを抽出することが可能になるという。

この価値は市場にも受け入れられており、「docomo data square」の案件数は前年比で約2倍に増加しているという。

CARTA HDとの連携で広告接点を拡大

一方で、これまでの「docomo data square」には課題もあった。NTTドコモの石橋氏は、「このデータを使ってそのままエンドユーザーとコミュニケーションができない」という点を挙げた。分析によって得られたインサイトを、ドコモが持つ広告接点以外で活用することが限定的だったという。

この課題を解決し、データの価値を最大化するために、ドコモはCARTA HOLDINGS(カルタホールディングス)との資本業務提携に踏み切った。石橋氏はこの連携について、「我々のデータを活用して、ありとあらゆるコンタクトポイントでコミュニケーションができる世界を作れれば、データの価値を世の中のマーケティングにおいて最大化できるのではないか」と考えたと説明する。

CARTA HOLDINGSとの連携でコンタクトポイント拡大

この提携により、第三者提供許諾が取れている約8000万IDのデータを、CARTA HOLDINGSが持つプラットフォームに接続することが可能になる。これにより、デジタル広告はもちろん、デジタルOOHや運用型テレビ広告、コネクテッドTV広告といった多様なチャネルで、ドコモのデータを活用したコミュニケーションが実現する世界を目指している。

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