PR4.0は進化論ではなく、広報の覚悟を問う提言である ~『PR4.0への提言』によせて(小澤美佳)

『新しい「企業価値」を創出する PR4.0への提言』は、広報の最新トレンドを軽やかに解説する本ではない。むしろ、情報環境が制御不能になり、企業と社会課題の距離が急速に縮まる時代において、広報が何を引き受ける仕事なのかを真正面から突きつけてくる一冊である。

本書では、PR1.0(情報拡散)、PR2.0(アウトカム重視)、PR3.0(社会的インパクト評価)という進化の整理を踏まえたうえで、これからのPRを「社会からの期待を引き受け、レピュテーションを形成し続ける営み」として定義している。ここで描かれるPR4.0は、単なる手法のアップデートではなく、企業の存在意義そのものと深く結びついている点が特徴的だ。

とりわけ印象的なのは、インターナルブランディングやSDGs・ESG文脈における「誠実なコミュニケーション」の重要性が、理念論ではなくリスク管理の視点から語られている点である。実態の伴わないメッセージは、ウォッシュとして企業価値を大きく毀損する。本書は、その現実を海外事例やデータとともに冷静に示している。

終章で提示される「PR4.0実践に向けた7つの視点」は、一見難解にも見える。しかし読み進めるほど、広報とは「伝える仕事」ではなく、「社会とどのような約束を結び、それを実行し続けるのかを設計する仕事」へと変化していることが腑に落ちる。

PR4.0は、前向きな流行語ではない。広報の責任が重くなる時代において、自分たちは何を背負い、何を語るのか。その覚悟を静かに、しかし確実に問いかけてくる提言書である。広報担当者はもちろん、企業価値のあり方を考える経営者にも手に取ってほしい。

Apple Podcast・Spotify・Voicy「令和の広報ラジオ」でも詳しくレビューしておりますので、よろしければお聴きになってみてください。

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小澤美佳(こざわ・みか)

2008年に株式会社リクルートに入社し、中途・新卒採用領域で営業やマネージャー職を歴任。リクナビ副編集長として大学でキャリア支援の講演も多数実施。製造、不動産、物流、通信など幅広い業界のHR支援に携わり、採用・定着・評価・育成から組織風土の醸成までHR全般に従事。2018年には中米ベリーズで観光業を立ち上げ、異文化経営を経験。2019年に株式会社ニットに参画し、ひとり広報で広報部署の立ち上げ。2年間でメディア露出を1004件に増加させ、テレワーク先駆者百選・TOKYOテレワークアワードを受賞。2023年、育休中に株式会社令和PRを設立し、物流、美容院、人材派遣、スポーツ関連など多岐にわたる業界で経営に寄り添うPR支援を提供。X(@mica823)でフォロワー4.5万人、音声ラジオPodcast・Voicyなどでも、広報やHRノウハウを発信し、経営をPRで加速させる支援をしている。

写真 表紙 PR4.0への提言

定価:2,200円
(本体2,000円+税)

『新しい「企業価値」を創出する PR4.0への提言』
編著:株式会社 電通PRコンサルティング

本書は、電通グループ内のPR領域における専門会社である電通PRコンサルティングが2020年8月から3年間、月刊『広報会議』(宣伝会議発行)において連載した「データで読み解く企業ブランディングの未来」をベースに、現在、そして来るべき広報の未来に向けて加筆しました。
『PR4.0への提言』は、序章と7つの章で構成されています。序章では、まずPR(パブリックリレーションズ)の進化について振り返ります。PR1.0は情報拡散を目的としたPRとして位置づけ、その後はPRの効果測定の指針として世界的に採択されている「バルセロナ原則」(※)に照らし合わせ、現在、自分たちの、2.0(アウトプットからアウトカム)、3.0(インパクトの評価)としています。そして来るべき「PR4.0」はどこに向かうのかを、本書を通して考察していきます。
※本書は、PRプランナー資格認定制度において、2次試験(科目C:広報・PR実務に関する知識)の参考図書に選定されました。

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宣伝会議 書籍編集部

宣伝会議書籍編集部では、広告・マーケティング・クリエイティブ分野に特化した専門書籍の企画・編集を担当。業界の第一線で活躍する実務家や研究者と連携し、実践的かつ最先端の知見を読者に届けています。

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