総務省とプラットフォーム事業者・通信事業者等が官民連携で推進する、インターネットやSNSにおけるICTリテラシー向上のための意識啓発プロジェクト「DIGITAL POSITIVE ACTION(DPA)」は2月16日、ICTリテラシー向上に資する優れた教材などを表彰する「DIGITAL POSITIVE ACTION AWARDS 2026」を初開催した。
偽・誤情報をはじめとするインターネット空間の課題に対応するため、幅広い世代のICTリテラシー向上が急務となる中、多様な学びの機会の提供と教材の活用を一層促進することを目的とする。
アワードでは、エントリー総数71件の中から大賞および4つの部門賞が選出され、大賞には日本マイクロソフトの「CyberSafe Al: Dig Deeper (Minecraftで生成AIを責任を持って使用するためのスキルを身につけよう)」が輝いた。
ICTリテラシー向上へ、官民連携プロジェクトがアワードを創設
開会にあたり、総務省大臣官房総括審議官の藤田清太郎氏が登壇。2025年1月のプロジェクト立ち上げから、Webサイトの公開など様々なステークホルダーと協力して取り組みを進めてきたと述べた。藤田氏は、2025年5月に総務省が公表した「ICTリテラシー実態調査」の結果に言及。偽・誤情報を見聞きした人の約半数がそれを正しい情報だと認識し、4人に1人が拡散に関与したというデータを示した。また、9割近くがICTリテラシーを重要と認識する一方で、約8割が具体的な取り組みを行っておらず、その理由として「取り組み方がわからない」という声が最も多かったことを指摘した。
こうした背景から、DPAではSNS上の特徴について学べる新教材や、各社のサービス設計上の工夫を集約した特設ページの公開など、幅広い世代のリテラシー向上に向けた取り組みを推進してきた。
続いて、DPA会長を務める慶應義塾大学法科大学院の山本龍彦教授がアワードの実施背景を説明した。山本会長も実態調査の結果に触れ、「何から始めればよいかわからない」という声に応えるため、DPA会員や関係省庁が作成した教材を集約し、年代やレベル、目的別に一覧化した「教材マップ」を公開したと語った。その上で、「幅広い世代に応じた多様な教材のさらなる認知向上と活用を推進したいと考え、アワードを実施する運びとなった」と開催の経緯を明らかにした。
アワードは、教育現場向けの「School賞」、家庭向けの「Home賞」、デジタル機器・サービスの活用に資する「Digital Use賞」、情報空間のリスクから利用者を守る「Safety賞」の4部門賞と、総合的な「大賞」で構成される。エントリーされた71教材は、大学教授、企業、団体、学生、クリエイターなど多様な視点を持つ審査員による一次・二次審査を経て、各賞が決定された。
スマートニュースやLINEヤフー、ソフトバンク、YouTubeの取り組みが表彰
表彰式では、4つの部門賞が発表された。
「School賞」は、スマートニュースのスマートニュースメディア研究所の「SNSのアルゴリズムを体験しよう―アルゴリズムに『自分がなってみる』―」が選ばれた。本教材は、児童生徒がアルゴリズムのように情報を取捨選択する体験を通じ、フィルターバブルのリスクや多角的な視点の必要性への気づきを促す授業実践例である。言われたことをそのままやっていく昭和時代の価値観から、令和のAI主導の時代は子どもたちが自分たちで考えていく時代。文部科学省が目指す「主体的で対話的な深い学び」の方向性を同じくするプログラムとして評価された。
受賞者スピーチに臨むスマートニュース メディア研究所 山脇岳志所長
「Home賞」に選ばれたのは、LINEヤフーの「ニュース健診2024(Yahoo!ニュース・朝日新聞共同企画)」。ニュースや情報を正しく理解し、デマや誤情報への適切な予防法をクイズ形式で学べるWebコンテンツで、診断結果に基づき情報判断力のレベルや課題を確認できる。情報に向き合う能力を自分自身で把握する機会はなかなかない中で、3つの能力についてクイズ形式で手軽に確認でき、客観視し、見直すことができる点が高評価だった。
LINEヤフー メディア管掌SBU メディアSBUリード 執行役員 小林貴樹氏
「Digital Use賞」には、ソフトバンクの「親子のスマホデビュー安心ガイド “はじめて”の不安は、ここで解消。」が選ばれた。通信教育講座「進研ゼミ」の監修のもと、親子で楽しくスマホデビューについて学べるコンテンツである。一方的に指示するのではなく、大切にしなければならないことを明示し、また多様な考え方を紹介している点が魅力的と好評だった。
ソフトバンク コミュニケーション統括部 コミュニケーションデザイン部 部長 小倉美穂氏
「Safety賞」は、Google(YouTube)の「ほんとかな? が、あなたを守る。」が選出。QuizKnockやHikakinTVなど人気YouTubeクリエイターの協力のもと展開した情報リテラシー向上キャンペーンである。伝えたい層に届くチャンネルを活用し、自然な形で情報が必要なユーザーに伝わる可能性が高く、高い効果も期待できると講評された。
グーグル YouTube Japan 代表 マネジングディレクター 山川奈織美氏



