“深く刺す”か、“広く届ける”か IPコラボの価値を高めたのは「景品設計」だった

となりのプレゼントキャンペーン戦略
─「とりあえず」を脱却するインセンティブ設計─

プレゼントキャンペーンは、多くの企業で実施されている一方で、その特典設計が「とりあえず」になってしまっているケースも少なくありません。誰に、どんな行動を促したいのか。目的に応じてインセンティブを設計することで、キャンペーンの成果は大きく変わります。ここでは実際にプレゼントキャンペーンを手がけた企業に施策の背景や設計意図、そして「なぜその特典を選んだのか」をひもときます。身近な“となり”の事例の裏にあるリアルな判断から、インセンティブ設計の考え方と、その多様な使い方を探ります。

IPコラボ施策は、人気キャラクターを起用するだけでは機能しない。自社が抱える課題に対して、どのIPを選び、どんな文脈で組み合わせ、誰に何を促すのかまで含めて設計することで、初めて施策として意味を持つ。今回は、ソニーネットワークコミュニケーションズ「NURO 光」とミツカン「黒酢ドリンク」の担当者が対談。同じIP活用施策でありながら、一方は“深く刺す”ことを、もう一方は“広く届ける”ことを重視。その違いは、施策全体の組み立てだけでなく、最後に置く景品の役割にも表れていた。

IPコラボ施策で“選ばれる、試す理由”をつくる

━━ミツカン「黒酢ドリンク」、ソニーネットワークコミュニケーションズ「NURO 光」はどちらもIPコラボ施策を展開しています。ですが、キャンペーンの出発点は異なっていそうです。

写真 人物 大谷氏


大谷:「NURO 光」はおうちのインターネット回線なので、工事が必要な方が多い都合上、食品や日用品のように「ちょっと試してみよう」とはいきません。もちろん、回線の速度や料金といった機能面は比較検討の要素として大事なのですが、そこだけで他社製品と比較されるとどうしても似た話になってしまう。だからこそ、機能ではない別の軸でも興味を持っていただく必要がありました。

写真 人物 中村氏


中村:ミツカンがキャンペーン対象商品とした黒酢ドリンクは、一度飲んでもらえれば継続的に飲んでくださることが多い商品です。ただ、その最初の1本を試してもらうのが難しい。なので、まず“広く知ってもらうこと”をKPIにしました。特に若年層は、お酢ドリンクに対して少し堅いイメージを持たれている場合も多く、店頭で手に取るハードルが高い。そこで、若年層との接点づくりも大きな目的でした。

━━「NURO 光」は“選ばれる理由を増やすこと”、ミツカン「黒酢ドリンク」は若年層に“最初の1本を手に取ってもらうこと”が課題だったと。

大谷:ネット回線は一度契約したら終わりではなく、そこから長く使っていただくもの。なので、最初の接点のつくり方が本当に大事なのです。

中村:ミツカンの黒酢ドリンクも、最初の一歩さえ越えてもらえれば、その先につながる可能性は高い。だから、そこをどう越えるかがテーマでした。

見ていたのは“商品との相性”人気だけで選ばなかった理由

━━その課題の解決策として、なぜIPコラボ施策を考えたのでしょうか。

大谷:今回のキャンペーンでコラボしたIPはカプコンの『流星のロックマン』です。同作は、電波やネットワークの世界観を持つタイトル。言うまでもなく、「NURO 光」との親和性が高いことがコラボの起点でした。さらに、もともとこの作品に触れていた世代が、今ちょうど一人暮らしや家庭を持って、回線を比較検討するタイミングに入ってきている。だから、昔遊んでいた人が「懐かしい」と立ち止まってくれることに、大きな意味があると考えました。

中村:ミツカンも、人気があるから起用した、というよりは、商品との相性を見ていました。今回のキャンペーンでメインとして扱っていたのはりんご黒酢です。コラボしたハローキティは、りんごのイメージが強く、親和性が高いと思いました。それに加えて、認知度が高くて、若年層にも親しみを持たれやすい。このキャンペーンは2~3月の新生活準備シーズンに合わせて、「これからの生活を前向きに始める」という文脈に乗せたかったので、その意味でも相性がよかったですね。

ファンに“深く刺した”NURO 光 生活者に“広く届けた”ミツカン

━━では実際に施策として組み立てる段階では、どのような違いがあったのかを考えます。

大谷:「NURO 光」ではターゲットへ深く刺さることが重要でした。IPの思い出を語るXキャンペーンやコラボ限定景品をつくり、ファンの方から「企画者にファンがいるな」「わかっている」と思っていただくことで、結果的にブランドへの印象につながっていく。そういう流れを期待していました。

中村:もちろんハローキティのファンに届くことも重要なのですが、それだけではなくて、「なんとなく見たことはある」「かわいいから気になる」という方まで含めて、黒酢ドリンクへの入口を広げる必要がありました。そこからトライアルをどう促進するか、これがキャンペーンの肝です。

IPコラボの価値を高めたのは景品の設計だった

━━出発点も目的も異なりますが、両社ともに景品を用意しています。どのように、設計したのでしょうか。

大谷:“ただの金券ではコラボ感につながらない”という課題がありました。以前は別の金券を選ぶことが多かったのですが、それだとせっかくIPと組んでいても、もらえる景品に特別感や“IPらしさ”がない。ただ、QUOカードPayではオリジナル券面が設定できると聞いて、今回採用しました。しかも、券面のデザインは1種類ではなく11種類をランダムに用意したので、ファンが「どれが当たるのだろう」と楽しめる設計にできました。アプリならある種NFTのように券面が残るのも大きかったです。単なるデジタル景品ではなく、“このコラボだから欲しいもの”にできた感覚があります。

中村:「NURO 光」らしい使い方ですね。私たちがQUOカードPayに期待していたのは“認知を広げること”でした。前回はQUOカードを中心にしていて、ファンの方にとっては手元に残る価値がありましたが、今回は第2弾として、まずキャンペーンを広く知ってもらう必要がありました。QUOカードPayは、サービスアプリ内やSNSからの発信も含めて活用できるため、自社だけでは届きにくい層にも接点を広げられるんです。キャンペーン感度の高い層や未接触層への認知拡大に向いていた点が、採用理由として大きかったですね。

━━ 2社に共通するのは、QUOカードPayを“とりあえずの景品”として選んでいなかったことですね。

大谷:配ること自体が目的ではありません。大事だったのは、IPファンの方に「この企画はちゃんとわかっているな」と思ってもらうこと。回線のように簡単に試せない商材では、景品にも熱量形成の役割が必要でした。その意味でQUOカードPayは、ただの金券ではなく、施策の一部として機能していたと思います。

中村:ミツカンも同じです。今回は応募景品としての魅力だけでなく、キャンペーンを知ってもらう入口としてどう機能するかを見ていました。結果として、前回比で1日あたりの応募数が約1.5倍に伸び、ターゲットとして狙っていた30代~50代女性が応募者の約7割を占めました。つまり、景品というより、施策全体を動かす要素として機能したからだと思います。

景品のQUOカードPayイメージ

ソニーネットワークコミュニケーションズ

景品のQUOカードPayイメージ

「NURO 光」会員限定キャンペーン

期間:2026年3月2日(月)~4月20日(月)
内容:期間中、「NURO 光」に新規で申し込んだ方または利用中の方を対象に、抽選で“69” 名に「流星のロックマン」オリジナルデザインのQUOカードPay 2,600円分をプレゼント。

公式X フォロー&リポストキャンペーン

期間:2026年3月2日(月)~3月31日(火)
内容:期間中、「NURO 光」公式Xアカウントおよびロックマンシリーズ公式Xアカウントをフォローし、キャンペーン対象ポストをリポストすると、抽選で50名に「流星のロックマン」オリジナルデザインのQUOカードPayを“6,900”円分プレゼント。

Mizkan

景品のQUOカードPayイメージ

期間:2026年2月2日(月)~3月31日(火)
内容:期間中に対象の黒酢飲料を購入し、Webからの応募者の中から、ハローキティ オリジナルQUOカード、QUOカードPay、オリジナルダイカットクッションなど、限定コラボグッズが抽選で合計1,110名に当たる。1本購入コースでは、ハローキティ オリジナルQUOカードPay500円分を1,000名。2本購入コースでは、ハローキティ オリジナルQUOカード3,000円分を100名にプレゼント。

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株式会社クオカード ブランド・マーケティング部

Email:quo-promo@quocard.co.jp
URL:https://www.quocard.com/business/

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