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レポート3本目となる今回は、誰にも頼まれていないのですが、来年のカンヌについての“予想”をお届けします。
絶対王者AB InBevの次にくるのは?
「バドワイザー」「コロナ」などのブランドを有するベルギーのアンハイザー・ブッシュ・インベブ(AB InBev)は今年、史上初の3度目となるCreative Marketer of the yearを受賞。新設のCreative Brand部門でもグランプリを獲るなど、ここ数年のカンヌが力を入れてきた「ビジネスとクリエイティビティの融合」を象徴する企業でした。彼らの強さは多岐にわたりますが、その根幹は「優れたクリエイティブをつくる」のではなく、「クリエイティブなものが自然と生まれやすい組織をつくる」ことにあります。
今回のカンヌで新設されたCreative Brand部門で受賞したAbinBev。
世界共通の行動指標「Creative Spectrum」。彼らが導入している独自の社員評価システムです(ぜひググってみてください!)。これが世界共通のモノサシとして機能することで、社員一人ひとりの行動や判断基準が変わり、結果として全てのアウトプットの質が底上げされるという、理想的な好循環を生み出しています 。
しかし、「このままAB InBevの独走時代が続くのか?」と言われると、決してそうとは言い切れません 。その潮目を大きく変えそうな要因が、やはり「AIの急速な普及」です 。
人生と愚直に向き合うブランド「IKEA」
もし次か、その次のCreative Marketer of the yearの候補を挙げるとしたら、私は迷わずIKEAを推します。
今年のカンヌライオンズにてFilm部門 ゴールドを受賞した「Made for life」シリーズより。
ここ4〜5年、IKEAの広告は常に上位入賞を果たし続けてきました 。今年もその勢いは健在で、さまざまなキャンペーン系部門で受賞を重ねています 。
Audio部門 ゴールドほか受賞:「Sleep Talk Reviews」
Media部門 シルバーほか受賞:「IKEA Preowned / Second-hand marketplace」
Creative Effectiveness部門 シルバー受賞:「Hidden Tags」
しかし、いま改めて私たちが着目すべきなのは、こうした手法の妙よりも、IKEAのブランドづくりの「軸」そのものにあります 。
ここで紹介したいのは、Film部門 ゴールドを受賞した「Made for life」シリーズ です。
Film部門 ゴールドを受賞「Made for life」シリーズ(4編)。
ここで描かれているのは、こんなストーリーです。
「ANTILOP(ベビーチェア/19ユーロ)を、少し早すぎると思いながら買った夫婦 。でも、2人ともそれを片付ける勇気が出ない。出したままにしておくのは迷信かもしれないけれど、頼れる願かけには全て頼りたい。なぜなら、次の挑戦に備えたもの(※不妊治療のためのホルモン剤の注射)が、収納ボックス(IKEA 365+/4ユーロ)の中で待っているのだから―― 」 。
他にも、夜更かしして娘の帰りを心配する父親や、亡き妻の面影を忘れそうになっている夫のマグカップの物語など、計4編が描かれています。
日本だと少しドキッとするようなディープなテーマですが、商品から始まり商品で終わる美しいストーリーと静謐なトーンによって、すーっと心に染み込んできます(ギークピクチュアズのプロデューサー 早坂匡裕さんに共有いただいた和訳のニュアンスが本当に素晴らしく、大変勉強になりました。ありがとうございます!)。
また、ちょっとラインは異なりますが、Print Publishing部門のブロンズをとった「Wherever life goes」も1つの写真と商品名だけで企画を成立させています。




