本記事は月刊『販促会議』2026年10月号に掲載されている、最新の販促アイデア、テクニックを一挙紹介する連載「Idea&Techniques」の転載記事です。本連載の他記事は、月刊『販促会議』2026年10月号、もしくは「販促会議デジタルマガジン」にてお読みいただけます。
アパレルブランド「POPPY」を運営するPawは7月3日、期間限定のコンセプトショップ「ICE COUTURE by POPPY」を、東京・原宿でオープン。ブランドがつくり上げてきたデザインをアイスクリームとして再構築した。
「ICE COUTURE」の内装。アイスクリームショップでありながらアパレルブランドでもあることが伝わる空間づくりとして、クチュール感のある「テーラー」を思わせる雰囲気を目指した。構想から実現までは、約3年の期間を要している。壁面にはアーチ状のニッチ棚を設け、過去のコレクションのカラーパレットや原画、素材、生地サンプル、洋服のデザイン画などを散りばめたテキスタイルイメージボードを展示。POPPYのデザインの歴史そのものに触れられるギャラリーのような空間づくりを意識した。
POPPYは、ロマンチック×ポップを軸に、手描きのアートを含む表現と物語性を大切にしてきたアパレルブランドで、原宿に本店と2号店を構えている。「ICE COUTURE」は、POPPYが大切にしてきた洋服デザインをアイスクリームとして再現することで、もう一度楽しんでもらえる場をつくりたいとの思いで企画された。
またPOPPYでは、これまで様々なオリジナルのテキスタイルデザインを生み出してきたが、商品の販売が終了すると、それらのデザインはその後日の目を見る機会がなくなる。せっかく時間をかけて生み出したデザインをそのまま終わらせてしまうのはもったいないと考え、このアイデアが生まれた。
国産乳製品をたっぷり使ったミルキーなアイスクリームに、たっぷりのあまおう苺を合わせた「RED BOUQUET」。洋服の柄がアイスクリームになっているという仕掛けを伝えるため、洋服とそれを表現したアイスクリームをあわせて撮影したビジュアルを全フレーバー分撮影し、店内に掲示した。
また企画時には、ブランドファンからの声も参考にした。商品がすぐに完売してしまって入手できなかった人からの「せっかくときめく柄と出会えたのに買えなかった」という声や、「柄は好きだけど、洋服としては少し取り入れづらい」などの声から、デザインを新たなかたちで届ける試みに挑戦したという。
アイスクリームの開発は、神戸と広尾に店舗を構え素材にこだわるクラフトアイスクリーム店「Harlow ICE CREAM」と共同で実施。テキスタイルデザインとアイスの柄をリンクさせた6種類のオリジナルフレーバーを展開した。
さらに、「ICE COUTURE」のために制作した限定のアパレルアイテムも販売。アパレルアイテムを収益の柱と位置づけ、内装工事費を含む投資の回収を狙った。また、同店舗の利用をきっかけにPOPPYのデザインを好きになった人が、そのまま本店や2号店へ足を運んで洋服の買い回りができるような導線の設計も意識した。
有機ココナッツミルクと豆乳をベースに、苺・マンゴー・アプリコット・オレンジを合わせたトロピカルなソルベ「WARM COLOR MIX [VG]」。暑い時期であることもあって、ソルベ系は目標を上回るペースで推移し、一時欠品となるほどの人気に。
オープンから半月が経過した時点で、のべ来場者数は2683人、アイスクリームの累計販売個数は4923個に到達。オープン直後の整理券配布期間中は、連日15時ごろに配布終了となる盛況ぶりだったという。客層は20~30代女性が中心。ワッフルコーンに2スクープの“映え”需要が高く、猛暑時にはさっぱりとしたソルベ系やカップ注文が増えるなど、天候に応じた変動もあった。
POPPYの洋服を着用して来店する人が多く、アイスクリームと一緒に写真を撮って楽しむ様子が数多く見られた。特に、アイスと洋服のデザインが並んで展示されているパネル前は撮影スポットとして人気が高く、SNS上でも店内の壁面や看板と一緒に撮影した写真が投稿されているという。7月15日に整理券制を廃止してからは、インバウンド層やファミリー層の来店機会も増えた。開催は10月31日まで、約4カ月間の営業を予定。
「今回の取り組みを通して新たなコミュニケーションが生まれたことも、成果の1つ」とPaw 事業推進室の堀井美月氏。これまでアパレルを通じて関係を築いてきた顧客とアイスクリームという新しい接点を持つことで、新たな角度からブランドについて話す機会が増えるなど、これまでとは異なるかたちで距離を縮めることができたという。
「ICE COUTURE」のために制作したオリジナルアイテム。Tシャツ、キャップ、トートバッグなどをラインアップした。
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