本記事は月刊『販促会議』2026年10月号に掲載されている、最新の販促アイデア、テクニックを一挙紹介する連載「Idea&Techniques」の転載記事です。本連載の他記事は、月刊『販促会議』2026年10月号、もしくは「販促会議デジタルマガジン」にてお読みいただけます。
ポプラ社と日本郵便は7月22日、一部の郵便局の窓口で、児童書などの試行販売をスタートした。
今回の取り組みは、日本郵便からポプラ社に相談があり、同じ思いを持っていた両社が協力して実現した。
ポプラ社は児童書を中心とした出版社。「かいけつゾロリ」シリーズや、「ズッコケ三人組」シリーズ、「ねずみくんの絵本」シリーズ、「めがねうさぎ」シリーズなど、ベストセラーを多数出版している。同社は、子どもたちには日常的に児童書と接点を持てる環境で、児童書を通じて新しい世界との出会いや感動を体験し、成長の糧にしてほしいと考えてきた。
しかし、近年は書店の数が減少し、2026年3月末時点で書店が1軒もない市町村が全国で510も存在するなど、書籍との接点が少なくなっている。そうした中で、同じ思いを持った日本郵便から郵便局での児童書の販売について相談を受け、今回の取り組みに至った。
全国で書店がない市町村の数をまとめた表。無書店率50%が超える県も複数見られる。
出典:出版文化産業振興財団
試行販売は、福島県内の新地郵便局、鹿島郵便局、小高郵便局、浪江郵便局の4カ所で実施。子どもたちに本との接点をつくりたいと考えたときに、無書店地域の中でも、東日本大震災の影響によって書店がなくなってしまった地域で試行販売を行うことで、地域の人々への貢献にもなるのではないかと考えた。
試行販売を行う郵便局では、書籍販売の経験がない局員にとって販売しやすい流れを検討。在庫管理や展開方法などについて、どのようなかたちであれば局員に扱いやすく、訪れる人にも手に取って選んでもらいやすいかを考え、窓口ロビーに専用什器として回転塔を設置した。
実際に店舗に設置した、販売のしやすさや扱いやすさが考慮された回転塔(陳列されている書籍はイメージ)。
それによって、現場も含めて合意を得るともに、通常の書店と同様に試し読みができるようにした。基本的に、在庫の追加は施行販売が終了する2027年3月まで行わず、4局の中で在庫を多少ローリングしてもらうことで、追送の負荷を軽減する運用とした。
「郵便局に来られたお客さまがお気に入りの1冊を選び、手に取られて、遠方のご家族へその本を発送する。このように、郵便局で出会った一冊をきっかけにした新たなコミュニケーションが生まれることが、地域貢献につながります。これこそが、このトライアルの意義だと考えています」(ポプラ社 社長室 室長 兼 営業本部 副本部長 佐藤久美氏)。
ポプラ社のX公式アカウントで当施策の実施を告知したところ、大きな反響が得られ、2.9万件のいいねを獲得。応援の声も多く聞かれ、「素敵な取り組み」「子どもたちにとっても、お気に入りの本が見つかるといいですね」「どんどん広がるといい」など、温かいメッセージが寄せられた。こうした反応を受けて、「このような取り組みを望まれている方がこんなにもいたのかという気付きを得ることができました」と、佐藤氏は語る。
今回の試行販売の結果を踏まえて、ほかの地域への拡大も検討していく。また、試行販売では什器として既存の回転塔を使用したが、ポプラ社の強みでもある小学生向けの読み物は回転塔では展開できないため、今後は日本郵便とも相談しながら、小学生向けの読み物も展開できる什器を導入し、さらに選ぶ楽しさを体験してもらえるようにしたいと考えているという。
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