カンヌ グランプリ受賞多数のトップクリエイターに特別インタビュー ――“good”でも“Great”でもだめ。目指すのは“Iconic”だ

カンヌライオンズ2014アウトドア部門でグランプリを受賞した、オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)の「GAYTM(ゲイティーエム)」。
LGBT・性的マイノリティの祭典「Sydney Gay and Lesbian Mardi Gra」の開催期間中、同イベントのスポンサーであるANZが実施したこのキャンペーンは、何の変哲もないATMをメディアとして活用し、LGBTへの理解と支援を訴えたものだ。
この施策を手掛けたTBWA\Worldwideワールドワイド・クリエイティブ・ディレクターのJohn Hunt氏がこのたび来日。TBWA\HAKUHODOで行われたグローバルミーティングでの講演後に、インタビューを行った。
John Hunt氏

TBWAワールドワイド クリエイティブ ディレクター John Hunt氏

LGBTの象徴であるレインボーカラーやラインストーンで“ゲイ仕様”に装飾されたATM。利用すると、裏面に“cash out and proud(お金と一緒に誇りも引き出そう)”というメッセージが記載された明細書が出てくる。

——これまでに手掛けた事例の中で、ご自身にとって特に印象的な仕事を教えてください。

一つは、2009年に実施した、ジンバブエの新聞社The Zimbabweanのキャンペーン「TRILLION DOLLAR CAMPAIGN」です。

悪政によって超インフレをもたらした政権を批判する意見広告で、もはや“紙以下”の価値となったジンバブエドル紙幣を敷き詰めて屋外ポスターとして掲出しました。

ローカル向けのキャンペーンでしたが、ネットメディアを中心に注目を集め、またたく間に世界中へ広がっていきました。

「TRILLION DOLLAR CAMPAIGN」。TBWA\Hunt\Lascarisが手掛けた同キャンペーンは、2009年のカンヌにおいてダイレクト部門でシルバー、2009年のニューヨークADC賞でブラックキューブ、2010年のD&AD賞でブラックペンシルを受賞した。

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またアディダスのFIFAワールドカップキャンペーンは、2010年の南アフリカ大会と今年のブラジル大会、2大会にわたって携わり、印象に残っています。南アフリカ大会では、世界最大のユニフォームを制作し、特注のトラックに乗せて南ア国内各地を行脚。大きな街だけでなく、国で一番小さな村まで行き、現地の人々にサインをしてもらいました。

W杯への関心を持ち、参加してもらおうとした施策です。ベーシックなアイデアながら、話題が国中に広がったのが印象的でした。

ブラジル大会では、6つのカメラを内蔵した特別なサッカーボールを制作して、世界各地に送りました。そうして各地で撮影された映像をまとめて、キャンペーンムービーとして展開したんです。手法は異なっても、目指すゴールはどちらの施策も同じで、W杯の話題を世界中に広めるということでした。

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