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カンヌ グランプリ受賞多数のトップクリエイターに特別インタビュー ――“good”でも“Great”でもだめ。目指すのは“Iconic”だ

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——広告効果がますます重視される昨今、クライアントから数値への明確なコミットを要求されることはありますか。また効果のある広告とは、どんなものだと考えていますか。

リーマンショック以降、やはりクライアントは広告に短期的な成果を求めるようになってきたと感じます。今四半期の売上はどうなるのかというのが最大の関心事になってしまい、ブランドビルディング、つまりブランドの価値を創造していくということが軽視されがちになっているのは事実です。ただ、素晴らしいクライアントは当然ながらその両方を重視しています。
何をもって「広告効果」とするか、その定義はいまだに曖昧ですが、広告・店頭プロモーション・価格など、ビジネス上の成果に貢献し得る要素がいくつもある中で、それらが成功に向けて有機的に機能していくための起点、“Kicker”となるような広告は、素晴らしい広告だと言っていいのではないかと思っています。

——成果につながるクリエイティブを生み出すために、チームビルディングのポイントがあれば教えてください。

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Johnが、TBWAのグローバルミーティングで使用したスライド。

不思議なことに、年齢や国籍、性別や部門に関わらず、チームのメンバーに対して「君はグレートな仕事をしていいんだよ」という、“許可”のようなものを明示的に与えると良い仕事をしてくれます。
また、コミュニケーション環境が目まぐるしく変わる状況下、TBWAの中にもすべての答えを持っている人はいませんから、社外の人材の活用も今後ますます必要になってくると思います。その人材は俳優かもしれないし、建築家やソフトウェアの開発者かもしれませんが、力を最大限発揮してもらえるよう、オープンなカルチャーで迎え入れるのがコツだと思います。

——クリエイティブの質を、どのように向上していこうと考えていますか。

クリエイティブの質は、“bad”“good”“Great”“Iconic”の4段階があると考えています。
“bad”はもちろんですが、“good”でも“Great”でもだめ。ややもすると他に埋もれ、存在価値がなくなってしまうからです。私たちが目指すのは“Iconic”、世界に二つとない傑出した仕事です。そして、そうした新しいカテゴリーを創出するようなクリエイティブを実現できたかどうか、またその実現のために真摯に取り組んだかどうかは、クリエイター本人が一番良く分かっているはずです。

Johnのオフィスで、クリエイターたちの仕事ぶりを監視しているという彫刻“モーフィアス”。

僕のオフィスには“モーフィアス”という名の彫刻があるのですが、彼は僕が“Creative Conscience(真摯なクリエイティブマインド)”を持って仕事をしているか、常に問いかけてくるのです。今日の社内イベントでは、そういう妥協のない姿勢で日々の仕事に取り組んでほしいと、グローバルの社員に伝えました。どれだけIconicな作品を生み出しているか。そういう観点で、クリエイターが評価されるようになればとも思っています。

——最後に、日本のクリエイターへのメッセージをお願いします。

日本のクリエイターの皆さんは、世界の広告界において非常にユニークな立ち位置にいると思います。日本の文化そのものがとても特徴的で、世界では「日本的である」というだけで価値があると捉えられていると言っても過言ではありません。ですからクリエイターの皆さんは、これからも仕事において日本人らしさを生かしていただきたいですし、「日本人である」ということをぜひ自ら祝福していただきたいと思います。日本人は、他国の人と同じになろうとするのではなく、日本人らしさを十分に発揮することで、世界に並び立つ存在になるのではないでしょうか。


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