2007年にスタートし、今年で10回目を迎えた「インターネット・マーケティングフォーラム2016」。今年は「データドリブンからヒューマンドリブンへ─マーケティングの本質を実現するためのデジタル活用を考える─」をテーマに、6月8日・9日の2日間にわたって開催した。データの先にある「お客さま」の気持ちや生活を見据えるために、データをどう活用するか――。本コラムでは、講演の一部をレポートとして紹介する。
講演者
- 萩原 史雄(赤城乳業 営業本部 マーケティング部 部長)
- 甲斐 博一(日本HP パーソナルシステムズ事業本部 パーソナルシステムズ・マーケティング部 部長)
業界や戦略は違えど、ターゲットの心理を押さえたプロモーションで実際に人を動かすことに成功している2社から、Web上での話題化が重視される時代のコミュニケーションのポイントや、おもしろCM、コラボキャンペーンの裏側にある考え方を聞いた。
予算をかけずに話題の拡散を図る
—売れる商品を作りだすために、意識的に社内で取り組まれていることとは。
萩原:
日頃から面白いことや、くだらないことなど小ネタを追求しています。
「ガリガリ君」は誕生して今年で35年。発売当時、駄菓子屋でガリガリ君を購入した小学生が「ガリガリ君うまいよな」と言った時の、その感覚を後世にも伝えたいという想いが強くあります。今から10年程前は、高校や大学卒業時に一度「ガリガリ君」離れをしてしまう方が多くいました。そのため、その層を引き留めようと、2006年には「ガリガリ部」というファンクラブを創設。当時は予算をかけられなかったので、20~30代の男性をターゲットに絞り、商品パッケージでの告知だけで部員募集しました。ところが、ネットや口コミで広がった結果、想定外だった女子中学生の部員もどんどん増え、50000人の部員アンケートで作った「マンゴー味」は、その年が冷夏だったにも関わらず、前年比115%を売上ました。
