コラム

高広伯彦の“メディアと広告”概論

ソーシャルメディアの時代なので、クチコミマーケティングを再考しよう:5

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その人の周辺に何人の人がいるのか? から考える。

さて、先週出した「演習」だが、インターネット上で展開する「レストランガイド」のマーケティングをどのように行うか? それをしかもクチコミでどのように効率的に実施できるか、というものだった。紹介してくれたらクーポンを配る、などといったインセンティブを考えた人もいるだろう。しかし、クチコミを企てるときにまず考えなければいけないこと。それは、あるひとりのユーザーに対してその周囲に何人の人がいるかを考えることである。

例えば「レストランガイド」の場合、どのようなときに使われるサービスなのだろうか、考えた読者はいただろうか?

たったひとりで食事をするためにこのサービスを使う人はいるだろうか?
いたとしても相当少ないだろう。食事の場を探すというのは、ほとんどの場合、「誰か」と行くということである。つまり、「レストランガイド」を使うときに、その周辺に数名の人がいるのだ。そしてその店を選んだ人は、おそらくはメールなどでそのレストランの場所を知らせるだろう。

ということは、「レストランガイド」を使って店を選んだ人と、その人といっしょに食事に行く人たちの間で「情報のパイプライン」が生まれることになる。その際に、例えば伝えやすいURLになっていれば、メールに貼り付けられやすいだろうし、あるいは、選んだ飲食店について記載があるページ内に共有ボタン/メール作成ボタンを作り、連絡をしやすくするなどする。そしてそれを見た人がクリックをしてレストランガイドサイトを訪れることができれば、非常に「オーガニック(自然)」にサイトに訪れてもらうことができる。

あまりにも答えとしてはシンプルすぎるので「え?それだけ?」と思われるかもしれないが、実はクチコミを「企てる」ときには、この人と人との「オーガニック」な情報パイプラインを発見する「インサイト(洞察力)」がもっとも重要なのだ。なんらかのインセンティブ(クーポンや割引券のようなもの)はクチコミ行動の後押しにはなるが、それ自体がクチコミを発生させるものではない、ということを理解しておこう。しかも、逆にインセンティブを主軸にしたクチコミの企てというのは「負のクチコミマーケティング」に作用する可能性もある。(次ページに続く)

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