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コラム

ネットで人気者(もしかしたら嫌われ者かも)になるネタの生まれ方

企業のPR調査に「○○な芸能人1位は××」多過ぎて食傷気味

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ここ数年ほど、「PR調査」が昔よりも多過ぎな気がします。「理想の上司1位は星野仙一」とか「一緒に酒を飲みたい1位は坂本龍馬」とか時々見ますね。こうした調査をプレスリリース化するのは、芸能人の名前をエサに、なんとか自社の名前・商品やサービス名を記事化してもらおうという意図があるからです。実際我々も記事にしてしまうわけですが、最近「それにしても強引過ぎないか?」というものが多いのも事実です。

イメージとしては「化粧品メーカーの○○の調査によると、『アヒル口がかわいい芸能人』1位は○○だった」「結婚相談サービス××の調査によると『女子力の高い芸能人』1位は△△だった」といったものですね。

他の項目は自社の業務や商品と関係があるものではあるものの、一か所強引に「今旬の芸能人・事象・歳時記」を絡めて芸能ニュースに仕立て上げよう、というニオイがプンプンしてしまうと「またかよ」感が強いのです。これからですと、キャンドル会社が「クリスマスディナーをキャンドルの明かりのもと一緒に食べたい芸能人1位は綾瀬はるか」なとどやるかもしれません。

記者発表会に芸能人呼び、ものすごい満足する人っているの?

芸能人の名前がついている方が、記事化してもPVが良かったりするわけで、ここには企業とメディアの共犯関係が見てとれます。これは、商品発表会に芸能人を呼んでも結局取り上げられるのはその芸能人が恋愛について語った部分であり、商品露出は後ろに設置されたパネルのみ、というのと同じ構造です。そして、関係者は必ず「まぁ、パネルが出たからいいか…」と自分を納得させようとします。

PR調査はこれと同様のデメリットもあるわけですが、そんな中、ベネッセコーポレーションの「全国好奇心調査レポート」という調査に関する記事がヤフー・トピックスに掲載されたり、mixiニュースでも「注目のピックアップ」に入るなど、多方面で取り上げられました。しかも、芸能人抜きで同社の言いたいことが十分記事化されています。

これがヤフー・トピックスに掲載された記事です。
子育て調査:親の8割が「うちの子って天才」って思った経験あり-毎日jp

この調査は、「『うちの子って天才!? 才能あるかも!?』と思ったことがありますか」という質問に対し、「頻繁にある」と答えた人が(13.3%)おり、「時々ある」の(67.3%)と合わせると80.6%の保護者が「ある」と回答したことや、将来子供になってもらいたい職業と子供が実際なりたい職業に乖離があることなどが記事化されました。

「親バカってこんなに多いんだ!」と思ったり、「親は薬剤師・公務員になってもらいたいけど、子供はTVヒーローになりたいのかよ!」といったギャップが面白いわけですね。

内容が面白くて意外性があれば芸能人はいらない

この調査は子供の好奇心等を調べるベネッセの「こどもメガネ委員会」が0歳~6歳児を持つ「こどもちゃれんじ」会員を対象に行ったものです。つまり、「子供の教育の専門家」が自身の専門領域に関する調査を行ったというわけですね。

今回の調査結果を公表する狙いは、「こどもメガネ」に関するCMのオンエアを告知し、「こどもメガネWEB」というサイトに誘導することでしょう。ここには幼児教育のプロとしてベネッセが設問を用意し、自社のインフラ(会員向けアンケートシステム)を安価に使ってこの調査レポートをまとめたことに意義があります。

この調査結果は十分にそれだけでも面白みと意外感があり、もはや「子供の好奇心を伸ばしてくれそうな芸能人夫婦1位は○○」みたいなメディアと読者に媚びたネタはいりません。

企業ってのは「その道」のプロ集団なのですから、調査リリースを出すにあたっても、強引に芸能人を入れたり、旬のネタを無理に混ぜたりしないでいいのでは(関係しているのであればもちろんOKですが)。そもそも、「強引」「無理に」そんなネタを混ぜる時ってのは、もしかしたらリリースの出し時ではないかもしれませんよ。

中川淳一郎「ネットで人気ものになるネタの生まれ方!」バックナンバー