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コラム

ネットで人気者(もしかしたら嫌われ者かも)になるネタの生まれ方

居酒屋生ビールのインチキ告発 まともな居酒屋にチャンス到来

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ビール好きの方々にとっては「よくぞ調べてくれた!」といった記事を女性自身のサイトで発見です。

マジメに検証「居酒屋のビール、 中と小の量は同じ」は本当か?-女性自身

これは「居酒屋のビールは中ジョッキのほうが高いけど、じつは小と量は同じ」という都市伝説の真偽を確かめるべく、複数の飲食店を覆面調査したレポートです。中と小の量がほぼ同じだったり、単にジョッキの底やガラスの厚さを変えることによってジョッキが大きくても中身が少ないケースもあったようです。さらには、「中」が240ccで410円、「小」が270ccで347円といった仰天の結果もあったと報告されています。

この記事、ヤフー・トピックスに掲載され、2ちゃんねるでも「『女性自身』のスタッフに大拍手!!」とホメられました。そして「なんか納得できないこと多いんだよな……」と人々が疑問を抱くことについて「やっぱそうだったんだ!」という回答を店名は隠しつつも、ズバリと検証している点がウケたわけです。

普段から居酒屋の欺瞞を薄々と感じていた人々は、以下のようにネット上で思いのたけをぶつけています。

「外食産業のいろんな意味での汚さをどんどん世間に浸透させろ」
「みんな適当に中たのむから、そこで量を誤魔化して稼いでるのか」

これぞ正しい「中ジョッキ」であるっ! 

私も毎日3~4リットルほどビールは飲むわけですが、やや細いタイプの、テメェ存在感ねぇんだよアホか!的なインチキ中ジョッキが出てきた時の落胆っぷりったら……。こんなもんに580円も払うのか、10年前はこんな小賢しい中ジョッキはなかったぞ、バーローめ! と言いたくなることが最近は多くなってきました。

そんなワケですから、昔ながらのどっしりとした中ジョッキを出すことが明らかな「なじみの店」にばかり行く保守化現象が発生し、新しいお店の開拓ができなくなっています。

今回の記事とそれに対する反応ですが、キチンとした店からすれば「ちょっ…、ちょっと、一緒にしないでください!」と言いたくなるようなものでしょう。でも、せっかくこの記事が多くの人に読まれたのだから、ここでそのキチンとした企業がやるべきは何か?

「明確に回答する」ことです。

明確に「そんな店もあるかもしれんが、ウチはそんな疑惑あるようなことはしとらん! オラ、水を入れて検証してやったゾ! 小→中→大とサイズが上がるにつれ、よりおトクになっていくゾ! この野郎!」と言い切れるお店(特にチェーン店)は、「8月27日の女性自身のサイトで検証されていた『生ビールのサイズに関する疑惑』がネット上で話題となりましたが」と書き出し、自社サイトで検証をすればよいのです。

ネット上で人々の口の端に乗る方法は【1】いいこと(おもしろいこと・感動すること・ハッとする目から鱗なこと)を言う【2】人の役に立つことを言う【3】誰かを激怒させる【4】誰かにとってトクする情報を提供する【5】物議を醸すテーマを提示する、という「自分からネタを創出」する方法が王道ではありますが、【6】他人が創出した「勝ち馬」的なネタに乗る「コバンザメ商法」も時には使用したいものです。

今回のビールの例のように、「ちょっとした疑問に企業が答えること」はネット上で誰もが思ったことを吐きだせる時代、極めて重要なことではないでしょうか。多分「居酒屋○○が反論してるぞwwwwwwww」「必死wwwwww」となりつつも、「よくぞ勇気を出して体を張って検証してくれた!」「お前の店行くぞ!」と評価は上がることでしょう。

ネットユーザーってけっこうそこは正当に評価してくれるものです。

ちなみにこのコラムも先週の「加藤茶」の例と今週の「ビール」の例を見れば分かりますが、「流行った理由を検証する」という文章の手法は相当な「コバンザメ商法」だったのですね、というのが今回のオチでございます。

あと、前出のような検証実験をしてWebサイトで公表した飲食店がありましたら、私のツイッターに@とURLつけて「オラ、検証したぞ」と連絡ください。どこかで記事化させていただくかもしれません。

中川淳一郎「ネットで人気ものになるネタの生まれ方!」バックナンバー