愛するブランドとチーム。

新たなブランドとの出会い

先週末、僕が担当するクライアント「Symantec(シマンテック)」の新しいキャンペーンがローンチされました。今回もスタッフ、クライアント共に一丸となり自信を持って世の中に送り出すことができました。最高のチームです。今回は僕が愛するこのブランドとの仕事を通してガイシの今を語ってみようと思います。シマンテックはアメリカのカリフォルニア州に本社を置きインターネットセキュリティソフト「Norton(ノートン)」を有する企業。アメリカはもちろんカナダ、ラテンアメリカ、ヨーロッパ、アフリカ、アジアパシフィックと世界中でサービスを展開しているグローバル企業です。全世界で売り上げシェアNO.1の実績を誇っています。

2010年1月。僕たちビーコンは日本のクリエイティブエージェンシーを決めるピッチ(競合プレ)に参加しました。アメリカではレオ・バーネットが担当していることもあり、声がかかったのです。プレゼンには日本だけではなく、アジアパシフィック、アメリカそれぞれのマーケティングディレクターも参加されていました。企画書もプレゼンテーションも全て英語。ガイシの僕らは得意の英語で、ロジカルかつエンターテインメント性あるプレゼンをしました。

といっても、残念ながら当時の僕は英語が全然しゃべれず。クリエイティブのパートはネイティブのクリエイターにプレゼンしてもらいました。僕がその場でやったことは、通訳を通しての質疑応答と、一枚の英語のボードを90分間持ち続けたこと。「共にブランドを創らせてください」。プレゼンは凄くうまくいったんですけどね、己の無力さを感じた体験でした(笑)。

そして2カ月後、正式にビーコンが選ばれ、年間のフィーが妥結され、新たなアカウントとなりました。このニュースは社内はもちろん、各国のネットワークにも広がりました。ガイシにとって、グローバルクライアントの獲得は全ネットワークにとって嬉しいニュースですから。

それから半年後の2010年9月。僕たちは初めてのクライアントと初めてのブランドキャンペーンを立ち上げました。成宮寛貴くん演じる「サイバー犯罪者N」が日本中をサイバー犯罪の恐怖に陥れるという企画。これはグローバルキャンペーンの一環で「Cyber Crime is Real Crime」というコンセプトを元にしたもの。世界のセキュリティーリーダーとして、自社製品の優位性を発するだけではなく、人々の行動を変える(目に見えないネット犯罪者の存在を浮き彫りにし、リアルな犯罪として気づかせ、その脅威に備えてもらう)ことを目指しました。

このキャンペーンはメインとなるテレビCM企画をテレビ局の考査に通すのが大変でした。犯罪者を描く恐怖訴求で「攻撃的」「暴力的」な要素が不可欠。全国のテレビ局に合わせて、バックアップのバックアップまで考え、何十原版と作ったのは初めての経験でした。何があっても屈しない、やりきる、チーム一丸で粘り戦いました。フタを開けてみると意外にもクレームも事故もなく、ホッとしたのを覚えています。そして嬉しいことにキャンペーン立ち上げから1カ月後、実に147週間ぶりにノートンが日本において売り上げNO.1を奪回したのです。

ノートン

サイバー犯罪者がいたるところに出現し脅威を与えていく。日本ではなかなかできない恐怖訴求、やり抜きました。

グローバルのビジョンを日本に適した活動で伝える

新しいキャンペーンを立ち上げた矢先、2010年末。僕はアカウントディレクターと共にサンフランシスコへ飛びました。そこではクライアントとエージェンシーが集まる1週間のワークセッションが開かれていました。各国のキャンペーンを紹介したり、現状や課題をシェアしたり、次のキャンペーンアイデアのブレストをしたり。多くのグローバル企業では、このように各リージョンのブランド担当者が一堂に会して全世界で通用する統一されたコミュニケーションコンセプトを考えます。とはいえ、その場ですんなり決まることは少ないのですが。僕たち日本のキャンペーンはここで本社や各国から高い評価を得ました。これにより日本のローカライゼーションに対する考え方が理解、支持されました。具体的に言うと、日本では文化や競合の違いがあり、本社が作ったクリエイティブ表現をそのままアダプテーションすることが効果的ではなく、同じコンセプトの元、日本なりの表現を開発していくことが大切であることを理解してもらいました。

このセッションを経て、僕らはグローバルコンセプトを元にアイデアを考え始めました。そして今度はシカゴのレオ・バーネット本社へ飛び、現地のクリエイティブスタッフと共にアイデアをすり合わせるセッションを持ちました。そこでお互いに最も強く効果的なアイデアを選び、シマンテック本社にプレゼンをしました。もちろん日本での表現展開も添えて。

そして2011年11月。全世界で新しいキャンペーンを立ち上げました。今までやっていた恐怖訴求とガラリと変わり突然のヒューマンなタッチ。あれ?エージェンシー変わった?と思われても不思議じゃないキャンペーンルックですが、ここにはシマンテック社としてのビジネス戦略やブランドメッセージがあります。「セキュリティ」が単なるPCデバイスだけでなく、モバイルやタブレット、いずれは生活全般に必要とされる「beyondPC」というビジョンが込められています。

欧米では「Stuff」キャンペーンと呼ばれています。そもそもこの「Stuff」という言葉は「漠然とした”物”」をさすもので、誰もがオンライン上にもっているそれらの”物”はかけがえのない「たいせつなもの」であるということを気付かせるのが命題。日本は「たいせつなもの」キャンペーンと名付け様々な広告活動を始めました。

Webストーリー

3人の”たいせつなもの”を見つめるWebストーリー。(クリックするとリンクへ)

僕がこのブランドを愛してやまないのは、自らが開拓に携わり共に成長しているという実感、共にブランドを育てている仲間たちの前向きさやビンビンくる熱意、そして何より世の中にとって意義のあるブランドであろうとするシマンテックの姿勢と人たちが最高だからです。

三寺雅人 「ガイシの夜明け」バックナンバー

三寺 雅人(ビーコンコミュニケーションズ/エグゼクティブ・クリエイティブ・ディレクター)
三寺 雅人(ビーコンコミュニケーションズ/エグゼクティブ・クリエイティブ・ディレクター)

1975年生まれ。国内広告会社でCMプランナーとして活動後、外資系広告会社ビーコンコミュニケーションズに入社。クリエイティブディレクターとして外資、国内双方のクライアントを担当する。また、クリエイティブの発想やアイデアを基に自主提案を仕掛けていく社内プロジェクトを立ち上げ、夕張市復興キャンペーン「夕張夫妻」を企画・実施。最近ではシマンテック(Nortonセキュリティ)の「犯罪者Nキャンペーン」「たいせつなものキャンペーン」、レノボの「DOキャンペーン」、京王電鉄の「樹の里高尾山キャンペーン」などを手がけている。2012年4月エグゼクティブ・クリエイティブ・ディレクター(ECD)に就任。国際広告賞の受賞および審査員経験も多数。

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Facebook: http://www.facebook.com/mitsudera
beacon communications : http://www.beaconcom.jp

三寺 雅人(ビーコンコミュニケーションズ/エグゼクティブ・クリエイティブ・ディレクター)

1975年生まれ。国内広告会社でCMプランナーとして活動後、外資系広告会社ビーコンコミュニケーションズに入社。クリエイティブディレクターとして外資、国内双方のクライアントを担当する。また、クリエイティブの発想やアイデアを基に自主提案を仕掛けていく社内プロジェクトを立ち上げ、夕張市復興キャンペーン「夕張夫妻」を企画・実施。最近ではシマンテック(Nortonセキュリティ)の「犯罪者Nキャンペーン」「たいせつなものキャンペーン」、レノボの「DOキャンペーン」、京王電鉄の「樹の里高尾山キャンペーン」などを手がけている。2012年4月エグゼクティブ・クリエイティブ・ディレクター(ECD)に就任。国際広告賞の受賞および審査員経験も多数。

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