ガイシの夜明けを信じて。

ガイシ系広告会社のチャンスとチャレンジ

このコラムもついに今回が最終回となりました。ガイシ系広告会社の今を明らかにしたい。そのスタイルや特徴は広告業界の光となるかもしれない。そんなことを自らの体験と率直な思いで綴ろうと考えてから丸3カ月。個人的にマネジメントに着任したりと激動の日々でした。

さて、結論。ガイシ系広告会社はどうなのか。今回は国内と外資どちらも経験してきた僕なりの考えをお伝えしたいと思います。

ずばり、グローバル化が加速し、日本の技術やクオリティが試される今の時代においてガイシ系広告会社の考え方やスタイルはアリだと思います。

「一業種一社」というポリシーは、広告会社にとっては時に新たなビジネスチャンスの障壁となることもあります。でも、今本当にクライアントが求めている価値は何なのか。ブランドの根源から細部の事情に至るまでを理解し、ビジネス上で勝つためのベストなソリューションをクリエイティブする。真の意味でクライアントの右腕となり、頼れるブレーンとして必要とされることが僕たちの一番の存在価値だと思います。内部の調整から世界で闘う舞台までクライアントと「代理店」ではなく「ワンチーム」として繋がり運命共同体となるガイシのやり方はひとつ、理想のカタチなのではと思います。

常に変化する市場やビジネス状況にクライアントの担当者は日々頭を悩ませていると思います。そんな時、プロジェクト毎に広告会社やスタッフが変わり、いちから仕切り直しをする状況は先方の悩みの種を増やすことなのかもしれません。ブランドと長く向き合い心中する覚悟を持って形成される「ブランドチーム制」はお互いにとって有効な体制だと思います。もちろん、そのメンバーの情熱や才能が大切ですが。

少し前、ビーコンからあるグローバルブランドが無くなりました。そこには僕たちの努力だけでは如何ともしがたい世界規模でのマーケティング戦略の見直しや縮小などの要素があったのですが、残念ながらそのブランドチームは解散しました。パートナーとして厳しくくやしい現実を目の当たりにした出来事でした。クライアントの事情を深く理解している運命共同体としては仕方のないこと、日本の担当者からいただいた「君たちは悪くない。良くやってくれた。またいつか繋がろう」。そんな熱い言葉を胸に、新たな場で信頼関係を築くために動き始めています。そう、僕たちはクライアントと共に勝ち続けなければならないのです。

最近、いくつかの仕事でプロジェクトやメディア毎にいくつかのベンダーと仕事をしていたクライアントさんから、全ての活動をブランドビジョンに根付いたものにしたい。できますか?というお話をいただくことが多くなっています。当然できるしやりたいのですが、悩ましいのは「フィー」という考え方です。僕たちメディアバイイング機能を持たないガイシはプロジェクト毎の「コミッション」だけでは利益が不十分。年間を通してそのブランドに何人アサインし、それぞれ何時間稼働させる、その条件を合意して毎月「フィー」をいただくことができなければ強固な「ブランドチーム」を結成することができません。依頼されたことはもちろん、その先を読んで動いたり、アイデアを広げマルチに提案したり、最適な人材を採用したり、ベストパートナーとしての活動は日々続くからです。この「フィー制」はここ日本ではなかなか敷くのが難しいのが現状です。僕たちはまず「コミッション」として始まった仕事で実力を認められ、クライアントが「フィー」を払ってでも求めたい存在になる、そんなチャレンジが課せられています。人材もそうですが、環境を作るのも「フィー制」だからできる良いところです。例えばマクドナルドチームのフロアには店舗と全く同じメニューボードが設置されており、掲出のシュミレーションが社内で行えます。またタバコのチームの一角にはコンビニと同じ環境があります。その名も「ビーコンビニエント」。商品パッケージのデザインやPOP、配置なども徹底的に検証しています。

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机上でアイデアを考えるだけでなく、物を買うお客さんの目線になってみて気づくことがたくさんあります。

最後に、ガイシ系のグループネットワークは強い武器です。世界各国に100以上の拠点を持つ僕たちはここ日本で生まれたアイデアやサービスを世界中のマーケットに発展させることができます。もちろん逆もしかりです。成熟市場である日本は今、中国などの新興国市場へ確かな商品力、技術力で乗り込み、勝たなければなりません。その際にコミュニケーションが担う役割は大きい。ブランドの根幹を保ちながらいかにそれぞれのエリアニーズにフィットさせていくか、グループのネットワークと密に連携をとりながら、さらなる大きな成功を目指す活動は本当にゾクゾクします。

プレイングマネージャーとして

僕はプレイングマネージャーを目指しています。今も自らクライアントを持ち現場に携わっています。それは先頭を切ってこの組織を引っ張っていくための僕なりのやり方です。自らチャンスを拡大し、クオリティを上げていく見本となる。そう決意しマネジメントになりました。先週、社長から激怒されたことがありました。僕が担当しているとあるクライアントさんのビジネスが急成長しているのに、うちの利益は伸びていない、お前は何をやっているんだ!

久しぶりに怒号を浴びせられました。仕方のない背景や状況があり、一方的で理不尽な怒られ方に腹がたちました。正直、それって営業の仕事だろという気持ちも沸きました。でもマネジメントは社員全員の今を背負っていて、未来を切り開いていかなければならないポジション。どんな時でも組織全体を考え導く使命があることを改めて痛感しました。プレイヤーとマネジメントの両立、このスタイルを確立することは日々挑戦であり、僕の一生のテーマです。

今週はいくつものピッチ(競合プレ)が動いています。ブランドエージェンシーとして期待をされ新規で呼ばれているケースが多く、嬉しさを感じています。期待以上のパフォーマンスで応え、このチャンスをモノにしなければと燃えています。リーダーとして大きな舵をとるだけではなく、自ら率先して現場で会社としてのラブコールを届ける。今回、主要マネジメントメンバー全員がこのピッチに向けて前面で動いています。営業のヘッド、トニーは一昨日、同じECDのジョンは昨日、そして僕は今日、プレの場に向かいます。そして、社長のニコラは現在、パリでプレゼン中。それぞれにいろいろな思惑や日本人メンバーとの確執はあるかもしれません。でも、マネジメントたち自らが必死になって新たなチャンスをつかみにいく姿勢は尊敬できます。本当に、誰一人慢心してはいけない。勝利の暁にはマネジメント全員でシャンパンをあけてワクワクする未来に乾杯したいと思っています。

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オフィスから望む富士山。

最後に、今まで12回にわたりコラムを読んでいただいたみなさま、応援してくださったみなさま、社員のみなさま、勝手に書かせていただいたみなさま、本当にありがとうございました。このコラムを書くことで僕自身も勇気づけられました。コラムは終わりますが、いろいろなところで繋がっていきましょう。そして、大好きなここ「日本」を盛り上げていきましょう!

※連載「ガイシの夜明け」は今回で終了です。ご愛読ありがとうございました。

三寺雅人 「ガイシの夜明け」バックナンバー

三寺 雅人(ビーコンコミュニケーションズ/エグゼクティブ・クリエイティブ・ディレクター)
三寺 雅人(ビーコンコミュニケーションズ/エグゼクティブ・クリエイティブ・ディレクター)

1975年生まれ。国内広告会社でCMプランナーとして活動後、外資系広告会社ビーコンコミュニケーションズに入社。クリエイティブディレクターとして外資、国内双方のクライアントを担当する。また、クリエイティブの発想やアイデアを基に自主提案を仕掛けていく社内プロジェクトを立ち上げ、夕張市復興キャンペーン「夕張夫妻」を企画・実施。最近ではシマンテック(Nortonセキュリティ)の「犯罪者Nキャンペーン」「たいせつなものキャンペーン」、レノボの「DOキャンペーン」、京王電鉄の「樹の里高尾山キャンペーン」などを手がけている。2012年4月エグゼクティブ・クリエイティブ・ディレクター(ECD)に就任。国際広告賞の受賞および審査員経験も多数。

twitter ID: 3temple
Facebook: http://www.facebook.com/mitsudera
beacon communications : http://www.beaconcom.jp

三寺 雅人(ビーコンコミュニケーションズ/エグゼクティブ・クリエイティブ・ディレクター)

1975年生まれ。国内広告会社でCMプランナーとして活動後、外資系広告会社ビーコンコミュニケーションズに入社。クリエイティブディレクターとして外資、国内双方のクライアントを担当する。また、クリエイティブの発想やアイデアを基に自主提案を仕掛けていく社内プロジェクトを立ち上げ、夕張市復興キャンペーン「夕張夫妻」を企画・実施。最近ではシマンテック(Nortonセキュリティ)の「犯罪者Nキャンペーン」「たいせつなものキャンペーン」、レノボの「DOキャンペーン」、京王電鉄の「樹の里高尾山キャンペーン」などを手がけている。2012年4月エグゼクティブ・クリエイティブ・ディレクター(ECD)に就任。国際広告賞の受賞および審査員経験も多数。

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