6 月 7 日、 地球環境ファシリティ(GEF)の評議会は、GEF の次期 CEO(最高執行責任者)兼評議会議長に、財務省の石井菜穂子副財務官を選出した。
石井氏は国際機関や地球環境問題の分野で豊富な経験をもつ財務官僚。全会一致の決定に至るまで、同評議会は数カ月にわたって世界各国の多数の候補者の中から選考を進めてきた。
GEFは、世界最大の地球環境に関する公的資金供与機関で、加盟 182 カ国によって任命された 32 名の代表で構成されている。その目的は次の2点。
(1)開発途上国及び市場経済移行国が、地球規模の環境問題に対応した形でプロジェクトを実施する際に追加的に負担する費用を、原則として無償資金を提供する。
(2)国連気候変動枠組条約、生物多様性条約、国連砂漠化対処条約、残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs条約)の、4つの環境関連条約の資金メカニズムとして世界銀行(世銀)に設置されている信託基金で、世銀、UNDP、UNEP等の国際機関がGEFの資金を活用してプロジェクトを実施する。
GEFは、1989年9月の世銀・IMF合同開発委員会において、仏・独が提案し、1991年5月に第1回参加国会合が開かれ、3年間のパイロットフェーズを経て1994年に正式にスタートした。1991年~2009年の投入資金の累計は、生物多様性(約29億ドル)、気候変動(約28億ドル)、複数分野(約11億ドル)、国際水域汚染防止(約11億ドル)、残留性有機物質(POPs)(3.7億ドル)、土地劣化(約3.4億ドル)、オゾン層保護(1.8億ドル)となっている。
石井氏は、開発、金融、地球環境の分野において 30 年に及ぶ国際的な経験を有し、現在は財務省副財務官として、国際開発金融機関における日本の開発政策に関わると共に、GEF や気候変動投資基金(CIF)、クリティカル・エコシステム・パートナーシップ基金(CEPF)、森林炭素パートナーシップ基金など地球環境のための基金について日本政府側を統括する立場にある。また、緑の気候変動基金(GCF)の創設に向けた移行委員会の日本代表も務めた。現在のCEOフランスのモニーク・バルビュー氏の後を引き継ぎ、8 月 1 日付で GEF 第 4 代 CEO に就任する。
内戦状態にあったスリランカのコロンボでの開発支援など、困難な課題に取り組んできた豊富な経験をもち、『長期経済発展の実証分析:成長メカニズムを機能させる制度は何か』をはじめとする多数の著書や論文を執筆してきた実績のある石井氏の就任に、各国から大きな期待が寄せられている。
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