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コラム

中国で広告一筋7年目

中国人スキ?キライ?

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日本に住んでいる友達に、「重松って中国人好きなの?」と聞かれることが多々あります。言いたいことは分かります。誤解を恐れずに書くと、日本人は中国人が結構苦手だったりします。中国人の友達に怒られそうなので先に私の結論を書きますが、僕は中国や中国人のことは、ダイスキライです。結論書いてないも同然、とか言わないでください。これは本当に難しい質問なんです。

09年社員旅行(当時の社員数13人)

09年社員旅行(当時の社員数13人)

弊社では、年末に毎年社員旅行を実施しています。これまで毎年、バンコク、ホーチミン、プーケットなど、上海から直行便がある東南アジアのどこかへ出かけています。日本で今時社員旅行、なんて言ったら若手からは「それって仕事ッスかー 残業代でるんスかー 行かなくてイイんでそのぶんお金クダサイー」とか言われますよね。中国人は、まったく違う!! こちらが恐縮するくらい喜んでくれるのです。

会社は少しずつではありますが拡大しているので、パスポートを持っていない社員も毎年入ってきます。飛行機乗ったことないコも居ます。旅行前日に「飛行機にトイレはないから今日は水飲み過ぎるなよ!」と言ったら本当か本当かと大騒ぎ。行きの飛行機から全員サングラス掛けて、日焼け止め。たった3泊なのに、メチャでかいスーツケースを持ってきて、それを買い物したもので埋め尽くすんです。本当に楽しんでくれる。

初恋ストロー

初恋ストロー


「会社ズル休み券」

「会社ズル休み券」

社員旅行だけでなく、年末の忘年会でも彼らは大興奮! 弊社で作った初恋ストロー(クライアントさんはカルピス様)を社員同士で使わせたりしたら全員からアイヤーの大合唱。去年弊社の忘年会の目玉景品は、「会社ズル休み券」だったのですがこの抽選会なんて阿鼻叫喚です。もう、本当に子供かっ!と突っ込みたくなるくらいの騒ぎ方をしてくれるんです。

これって、実は死ぬほどほどうれしい。社員旅行も忘年会も、本気で喜んでくれるのでこちらとしてもやり甲斐がある。僕は日本で会社経営するより、中国でやったほうが絶対に幸せだなぁと思っています。

あと、僕が中国人のステキだなと思うトコロは、家族愛がすごいところ。モノの本には、それは儒教の影響で……とか小難しいことが書いてありますが、これは単純にエライ、見習おう、と思います。親や親戚、子供って冷静に考えれば、当然人生にとって一番大切なものですものね。

僕は、中国人は、とても素直だと思います。言い換えると、欲望に忠実。今はまさに昔夢見たあこがれの暮らしを実現出来るようになったばかりで、毎日がうれしくてしょうがない、という感じだと思います。俗っぽい話をすると、旅行、ゴルフ、車、マンション、一眼レフ……。リフォームの時に必ず家に大きいスピーカーを置いたり、暖炉を付けたりするのも流行っているのですが、これも憧れの具現化なのだと思います(ただ、中国の上海などの一級都市と地方の格差は激しく、まだこういう暮らしが出来ていない大多数の人が居ることも事実です)。

さて、ダイスキなトコロは書いてしまったので、このへんで筆を……と言いたいのですが、制限字数に達していないので(そんなもの本当はナイ)、勇気を出してキライなところも書いてみたいと思います。

あれはまだ会社ができていなくて、僕が協力会社のオフィスに居候していた時のこと……深夜のオフィスで、どこからともなく「カーーーッ、ペッ!」と聞こえてきます。恐る恐る音のする方向を見ると、遠くの暗がりで残業している30歳くらいの女性が、タンを机の横のゴミ箱にダイレクトインしているではないですか。

あと、中国人にとってゲップは挨拶みたいなもの。打合せ中に、額を寄せ合い同じ原稿を見ながら喧々諤々している最中に「ゲーーーーップ」。もう7年間、「俺達日本人にとって、ゲップとオナラは同じくらい失礼だ、お前は俺の顔の前で屁をこいたんだ!無礼者!」と言い続けているのですが、弊社馬恩宇くんは、なかなか直りません(いつものゲップの仕返しとして、この場で世界デビューさせてやったぜ! と思いきや彼は日本語分からない)。

あと僕がキライなのは、これは日本人と中国人の最大の不幸だと思ってるのですが、上がり調子の「アー?」。日本人ではケンカの時にしか使いませんが、中国人は「エッ何?」くらいの感じで良く使うのです。どんなに可愛いスチュワーデスでも、それはそれは見事な上がり調子です。僕は未だにやられるとイライラするので、社内は「アー?」禁止。弊社社員はそんな僕の「アー?」嫌いをよく知っていて、PPTの作り直しや原稿の再提出を指示するたびに、弊社オフィスは、「アー?」の声で包まれます。

中国人の社員と面談をすると必ず出てくる言葉は、「発展空間の有り無し」。これは、自分の成長出来る環境がここにあるかどうか、みたいな意味です。中国人社員はとてもハングリーで、ある種解りやすくて僕はいいと思います。彼らは良い環境があれば転職を屁とも思っていません。彼らが求めるものは、発展空間があるか、目先の給料が上がるか、の2つです。我々経営陣の仕事は、自分の会社に彼らの発展空間を作り、給料を多く払えるように仕事を取ってくること。シンプルです。弊社は30人弱の会社ですが、日系大手からも外資系大手からも、逆にチャンスがありそうだと転職で来る社員もいます。先月、弊社からクライアントに転職していった営業の子も居ましたが……グスン。

第4回「大学では学べないMCBA」はこちら

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