独創的なアイデアのある広告やデザインを顕彰する国際広告賞のひとつ「ロンドン国際広告賞」。ことしは世界76カ国・1万5418点が応募された。その中から勝ち残ったブックデザインを2点紹介する。

通り抜け“づらい”英国中の道を集めたガイド本

撮影は、風景写真を得意とするフォトグラファー
Harry Cory Wright氏。

掲載しているのは、広くて走りやすい道ではなく、英国中の狭く、うねった小道ばかり18カ所。フォルクスワーゲン（VW）UKが、ブリテン諸島をのべ3000マイル（約4830キロメートル）走り回ってピックアップした。ねらいはVWの新型小型車「up!」を、社用車や営業車として採用してもらうこと。「up!」なら、どんな細い道でも通り抜けられるというメッセージを込め、社用車管理担当者に送付した。彼らの悩みは、燃費や走行距離を減らすことだからだ。

試乗して実際に訪れられるように、小道の写真には緯度や経度を添えている。その場までの案内で、「up!」が搭載するカーナビ「マップ・アンド・モア」も体験してもらおうという考えもある。

ロンドン国際賞では、プリント部門（ダイレクトマーケティング／B to Bカテゴリー）で銀賞を受賞した。制作はDDB UK。

いざとなったら「私を食べて」 ランドローバーのサバイバル本

星座の位置から方角を割り出したり、シェルターの作り方を紹介したり。
表紙には大きく、「緊急時には、この本を食べて」と記されている。

中東市場の消費者に向け、ランドローバーが制作したサバイバルガイド。「ランドローバーならアラビアの砂漠で、どんな障害にあっても切り抜けられる」と伝えたくても、日常生活で危険な野生動物とはち合わせたり、砂漠で遭難することはない。たとえ、そんな状況になっても、ランドローバーの魅力を思い出す間もなく――。そこで安全な場所にいても、ランドローバーの性能を実感してもらうため、同社はこのガイド本を用意した。

内容はアラブの砂漠で生き残るためのサバイバル術。現地に棲む動植物を調べ上げ、それらを活用する方法を紹介している。さらに各ページは切り取って食べられる。制作したヤング・アンド・ルビカム ドバイは、チーズバーガーと同程度の栄養価があるという。パッケージに用いた反射材は、救難信号を送るために使え、ページを閉じるリングは調理器具になる。

このガイドブックは約5000人に配布したり、スポーツショップなどに設置したほか、自動車雑誌のブック・イン・ブックになった。ロンドン国際賞では、プリント部門（ダイレクトマーケティング／コンシューマーカテゴリー）で、金賞を受賞。

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