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コラム

33歳、現場プロデューサーが考えるエージェンシーの未来

流れを読むこと。問題を提起すること。―プロデューサーとしてのソーシャルメディア施策の捉え方(ポカリスエット)

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今回は、「ポカリスエット公式Facebookページ」(以下、ポカリFbページ)の事例をご紹介しながら、ソーシャルメディアについて触れてみます。
ポカリFbページは昨年7月にオープンし、現在までで16万人のいいね!がついています。(今年10月のad:tech tokyoのFacebookによるオープニングキーノートでも触れていただけたのは本当に嬉しかったです)
オープン以来継続している毎日の投稿を含め、大小さまざまな取り組みをしていますが、ここでは2つの施策を取り上げます。

1つは、昨年のオープンと同時にローンチしたFacebookアプリ「ポカリIQチェック -IonQuality-」です。簡単な質問に答えると水分充実レベルをチェックできるアプリで、診断結果が3枚横に並んだイラストで表示されます。当時はニュースフィード上の写真が3枚横に並んで表示されていたのを利用し、診断結果を友達に共有すると、ニュースフィード上に3枚のイラストがつながった大きな1枚の絵が出てくる仕組みとなっています。ローンチ初日に12,000のいいね!を獲得した原動力となりました。
※本施策の詳細については、こちらをご参照くださいませ。

そしてもう1つは、昨年10~12月に実施したラジオとの連動企画「POCARI SWEAT REQUEST-ON-LINE」です。Facebookのクエスチョン機能を活用し、ポカリFbページから楽曲リクエストができ、リクエストが多く集まった楽曲を実際に流すラジオ番組を毎週オンエアしました。
※本施策の詳細については、こちらをご参照くださいませ。

さて、そもそもこのような施策を提案しようと考えた経緯についてですが、自分はまずソーシャルメディアについては、「流れを把握し、掴むこと」が大切だと認識しています。そのソーシャルメディアがどのような文脈で受け入れられているか、その流れを捉え、流れに乗るためのブランドとの接点を考え始めます。
「ポカリIQチェック -IonQuality-」でいうと、当時Facebookが日本で(本格的に企業がマーケティングに活用し始めるという点で)盛り上がりはじめて数ヶ月から半年といったタイミングでした。その頃Twitterが盛り上がっていましたので、この流れを参考にし、Twitterで散見され且つFacebook上では見かけなかった「診断コンテンツ」に目をつけました。
(実はそれ以前にもWebでの診断ネタは度々盛り上がっていますので「鉄板ネタである」とも言えますが、「ポカリIQチェック -IonQuality-」が成功を収めた後、いろんな診断アプリがFb上でヒットし始めたので、タイミングが良かったことは間違いないと思います)
Twitterとの違いとしては、Facebookはビジュアル(写真やイラスト)でのコミュニケーションが活発ですので、診断結果についても単なるテキストではなく、インパクトあるビジュアルで表示されるようしたのも良かったと思います。

また、「POCARI SWEAT REQUEST-ON-LINE」でいうと、ポカリFbページとしてはアプリが成功し、日々の投稿もかなり安定してきたタイミングであったと同時に、Facebook全体の流れとしても、ユーザーも増え、企業ページが当たり前になりつつあったタイミングでした。
その流れを受けて、Facebook内だけで完結させるのではなく外と連動した施策を実施し、より大きな話題を作りつつ外の刺激で内を活性化しよう、というのが本施策の開発スタンスでした。

以上のようなことは、前々回のコラムの「ポイント1:社会の文脈に乗る。」にも通じており、ソーシャルメディアに限ったことではないのですが、ソーシャルメディアはその流れが可視化しているので比較的、文脈が捉えやすい、ということは言えるかもしれません。
ソーシャルリスニング(傾聴)はとても大切だと思いますので、ブランド関連の情報だけでなく、全体の流れについても耳を傾けておくと、企画開発の参考になります。

ソーシャルメディアについて、もう1つよく議論されることとして、「そもそもソーシャルメディアを使う必要があるのか?また何のために使うのか?」ということがあります。
目的を明確にするのはもちろん大切なことではあるのですが、そこばかりを気にして機会を逸するのも自分はもったいない気がしています。
どんどん新しい領域が拡がる今、「ソリューション視点」と同じくらい「問題提起視点」が大切であり、問題の発見・共有から一緒に取り組む姿勢を取れるかが、エージェンシーにとってポイントになっていると考えています。
ですので、Xが注目されてきたタイミングで、「その課題解決にXを使う必要はあるか?」という問いとセットで「Xを使わないことによる機会損失は?」と考えておくことも大切です。
(余談ですが、いわゆる広告施策に優れているクライアントは、ここの見極め感覚についても経験則的に高まっており、いろんなトレンドを上手く力にしている印象があります)
そして、ソーシャルメディアはそのXの主要な1つであり、かつあくまでその1つに過ぎません。その流れを「示す」ことで、より良い使い方(もしくはやはり使わないという判断)が出てくるものだと思います。

以上今回は、「ソーシャルメディアは内部の力学を理解するのも当然重要なのですが、一方でこんな視点でも捉えることでプロデュースの幅も拡がります」というお話でした。

次回は、プロデューサーの現場(具体的にどんなことをしているのか?)を直近の事例を通してご紹介できればと思います。


【梅田 亮「33歳、現場プロデューサーが考えるエージェンシーの未来」バックナンバー】

「33歳、現場プロデューサーが考えるエージェンシーの未来」バックナンバー