コラム

33歳、現場プロデューサーが考えるエージェンシーの未来

プロジェクトを発足させ、社内へ意思表示する。 ―デジタルコンテンツ開発チーム「PROTO_CUL」のプロデュース―

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今回も私が関わっているプロジェクトの立ち上げについて触れていきます。

先週4月16日(火)にソーシャルTV局「2.5D」と共同で「PROTO_CUL」(プロトカル)というプロジェクトチームを発足しました。

「プロトタイピング・カルチャー」がネーミングの由来です。「テクノロジストとアーティストをクロスオーバーさせ、近未来をプロトタイピングしていく」をコンセプトに、コンテンツ制作において、多様なデジタルテクノロジーに対応可能な体制を整えています。

PROTO_CULのWebサイトも同日立ち上げており、テクノロジスト×アーティストの対談をお送りしていきます。今後は対談だけでなく“プロトタイピングした近未来”の実例を積み重ねていければと考えています。

対談のダイジェストはこちらとなります。

さて、このPROTO_CULを発足させるに至った背景ですが、まず広告業界においてデジタル領域の拡大、もしくはデジタルを活用する機運が(クライアントにも広告会社にも)かなり定着してきたことが挙げられます。

デジタルと言えば、メディアビジネスにおけるアドテクノロジーやマーケティングにおけるビッグデータ等が日々盛んに議論されていると思いますが、その一方でコンテンツ制作においてもプロジェクションマッピングやARといった手法がすっかり有名になり、事例も随分と増えてきた感があり、話題に事欠きません。

しかしながらコンテンツ制作に活かせるテクノロジーを実際に保有しているところは点在しており、キュレーションできる体制が必要だと感じていました。

もう1つ、テクノロジー系のプロジェクトだと研究開発の側面が強く押し出されるケースがあるかと思いますが、今回はそうではなくあくまでもすぐにビジネス(マーケティング施策の開発、とくにコンテンツ制作)に活用できる体制を目指しました。ですので、テクノロジーとセットでアートやカルチャーといった要素も重視しています。

そういった意味合いで、早くからこの領域に取り組んでおり存在感を発揮している2.5Dとタッグを組めたことはとても大きいと考えています。

次に、本プロジェクトをプロデュースする観点に触れます。

競合の状況を見聞きしたり、クライアントと日々接する中で、デジタルコンテンツへの対応力強化が急務と認識しているのは当然の前提ですし、前回のポイント「中核メンバーの情熱」「現業で生まれつつあるプロジェクトの芽を育てる」も共通しているのですが、それ以外のポイントとしては、「社内への刺激と指針としての機能」というのが挙げられます。

組織編成というのは少なからずそういった側面を持ち合わせると思いますが、特にこのようなプロジェクト的なチームだとよりその色合いは濃くなると思います。

常に新しい提案が求められ、またむしろ新しい提案というのはこちらから積極的にしていくべきだと思うのですが、つい日々の業務に追われて、そういった提案は後回しになりがちで、結果的に中期的にはじわじわと苦しくなっていく・・・といった状況になりやすいものです。そのような状況に陥らないような刺激と「新しいことも積極的に取り組んでいく!」という指針として機能させたいと思っています。

また、大広という会社のカラーとしても(もちろん人によってイメージは色々あると思いますが)今回の取り組みは今までのものとやや傾向が異なるため「社風に合うのか?」といった声も正直ありました。しかし社内を説明に回っていくにつれ、イメージから来る誤解も解け始め「たしかに今までにない機能だし必要なのでは」「新たなコンテンツ開発のためには多様な要素が必要」というように理解をされ始め、社内外、各方面のご協力があり無事リリースすることが出来ました。

よく「組織か人か」という議論があります。「会社としてあるべき機能を最優先に考えて組織をつくり、そのハコに社員を配置する」のか「今いる社員の特性を考慮して組織(とその機能)を考える」のか、どちらが正しいのかという議論です。

会社としては前者でうまく回れば理想なのでしょうが、現実的には後者の視点もうまく取り入れていかないと難しいケースもあると思います。そういったケースにおいて、このような「プロジェクト」にしてしまうのはアリなのではないでしょうか。

プロジェクトメンバーの熱量を最大限発揮してもらい、社内外にアピールしていきながら、その影響力を現業(の組織とその中の業務)に落していく、という考え方です。個々人のユニークなモチベーションを組織的なハコに無理に収めようとせず、かといって組織編成を完全には属人的にしない、という意味でバランスの取れたアプローチなのかな、と(PROTO_CUL含め、幾つかのプロジェクトの立ち上げ、取り組みを体験してみて)考えています。

最後に、テクノロジストやアーティストの方々についてなのですが、対談の撮影現場に立ち会ってグッと感じたのは、「やはり新しいことに100%打ち込んでいる人の熱量は全然違う」ということです。(サイト内の対談動画をご覧いただければと思うのですが、真剣に語り合う2人のプロフェッショナルの姿には感銘を受けました。また各対談の最後の方の「もしコラボレーションして1つの作品をつくるとしたら?」は特に面白い内容となっていると思います)

そういった熱量を削ぐことなく、うまくコンテンツ制作・開発に繋げていくことで、「テクノロジストやアーティスト」と「企業や社会」とのブリッジ役としてPROTO_CULをプロデュースしていきたい、と想いを新たにしています。

さて次回もビジネス立ち上げの具体事例に触れていきたいと思います。


【梅田 亮「33歳、現場プロデューサーが考えるエージェンシーの未来」バックナンバー】

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