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コラム

i(アイ)トレンド

なぜCMOが注目を集めているのか?

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デジタルへのシフトが「CMO熱」を後押し

先週「CMO」に関する講演を二つ行った。片方の講座は連続で行われる講座で有料であるが、募集をかけてからかなり早く埋まったようだ。もう片方の講演も朝9時と早かったのにかなり多くの方が参加された。その他にも多くの講座やセミナーが行われているが、なぜ今CMOの機能が問い直されているのか検証してみたい。

ご存じだとは思うがCMOはChief Marketing Officerを略したもの。米国などではCEO(最高経営責任者)、CFO(最高財務責任者)やCOO(最高執行責任者)とともに全社の戦略に基づきマーケティング戦略立案や全社のあらゆる資源配分を行うのであるが、日本ではこのようなポジションは少なく、広告や広報を管轄する部署を指すことが多い。

例えばgooビジネスEXによると“CMOとは、米国企業等で用いられている幹部役員職(執行役職)の一つで、マーケティングに関する全社的な統括責任者のこと。最高マーケティング責任者と訳される。日本企業では広報・宣伝等に責任を持つ取締役等の兼任が多いといわれる。<中略>全社的にみれば各部所のスキルを統合し企業の価値・ブランドの向上に向け横断的に統括する機能を持つケースは少ないと言われている”ということである。

筆者の考えによるとCMOの重要性を浮かび上がらせている要素は主に4つあり、それはいずれもIT、デジタル化と関係している。1) 通信の進化、デバイスの多様化と新しいメディアの台頭(Owned, Earned, Shared + Paid)、2) ビッグデータ&クラウド技術の進化、3) グローバリゼーションそして4) 事業会社やメディア間のマーケティングエコシステムのコラボレーションであろう。ここでは細かい内容には踏み込まないが、これらの変化により競争のドメインやスピードが大きく変わってきており、CMOとしての役割や能力もそれに伴い大きく変化しているということだろう。

ビッグデータ解析でマーケティングは次なるフェーズへ

それらを象徴する事象は世の中に多く出てきているが、筆者が特に注目するのは2月23日に日本経済新聞が一面トップで報じた“ローソンやサンリオ等がビッグデータ解析に投資”という記事である。記事によると、米国のITベンチャーに投資するファンドを設立し、15社で230億円近くの規模に拡大する予定であるという。スマートフォンなどが普及し、それを支える通信ネットワークによりデータがクラウド上に蓄積され、大規模データ処理をする技術が進み、それをマーケティングに充てる時代の象徴ではないだろうか。

その場合にマーケティングは広告宣伝のみならず、消費者のインサイトや製品開発やサービス改善、ユーザーサポートや需要予測などありとあらゆる分野に拡大するであろう。そのように考えると一見は非常に大きな投資に見えるのであるが、これからの企業のあり方を示唆しているのではなかろうか。すなわち商品開発やマーケティング施策をGuess(推測)するのではなくデータ解析によってKnow(把握)する時代が近づいてきているのではないと思うのだが如何だろうか。

1月に出版された「マーケティング立国ニッポンへ ~デジタル時代、再生のカギはCMO機能」 (神岡太郎、博報堂エンゲージメントビジネスユニット著、日本マーケティング協会協力)の中にもいくつかの事例が紹介されている。筆者と違う視点も含まれているので興味のある方は一度目を通してみるといいのではなかろうか?

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