いきなりですが、お題です。
【問】楽天市場に数あるネットショップのなかでも、ソーシャルメディアを上手に活用できているお店の一つである「バラの家」。さて、その店長さんのTwitterフォロワー数は、何人でしょうか?
(1)1,700人
(2)17,000人
(3)170,000人
(考えタイム)
ちっ
ちっ
ちっ
ぼーん!
正解は、(1)「1,700人」です!
「自分のほうがよっぽどフォロワー多いんですけど」という方も少なくないのではないでしょうか。しかし、とても小さな商売としての活用事例、というわけではありません。「バラの家【バラ苗専門店】」は、ガーデン・DIYジャンルで「楽天市場ショップ・オブ・ザ・イヤー」を5年連続受賞している、楽天市場を代表するお店の1つ。その名のとおり、バラの苗木を扱うお店です。
最近、「バラの家」は、西武ドームで行なわれた「国際バラとガーデニングショウ2013」に初出店したところ、出店店舗のなかでダントツのブース面積あたりの売上を記録しました。しかも、店長であり社長の木村卓功(きむら たくのり)さんは、数百人にサインや写真をお願いされました。その際、「ブログ見てます」「ツイッターでフォローしてます」「フェイスブックに写真あげていいですか?」など、ソーシャルの活動の成果を大いに感じたといいます。
では、このお店がどのようにソーシャルメディアを使っているのか、見ていきたいと思います。
木村さんが最初にやり始めたのは、Twitterでの「バラ塾」でした。2010年秋頃から、毎週水曜日の20時にリアルタイムでお客さんの質問を受ける形の「塾」です。当時、私も見に行きましたが、双方向のコミュニケーション量が多く、盛り上がっていました。
ただ、続けるうちに質問する人が固定化し始めます。やりとりの内容は濃くなったのですが、まわりで見ている人が入りにくい雰囲気ができていきました。その状況をあまり好ましくないと考えた木村さんは、Twitterの使い方を変えます。Twitterは情報発信オンリーにして、バラについて自分がやっていることをつぶやくようにしました。そうすると、一部の人と濃いやりとりをしていたときに比べて、「いつも見ています」のような気軽な返信が増えたといいます。
Twitterでの濃いやりとりがなくなった代わりに、2011年春頃から実店舗(埼玉県)で「バラ塾」を始めました。ほぼ毎週日曜日の開催で、最初は参加者が1人だけのこともありましたが、いまでは一回30〜40人と、参加者が増えてきているといいます。
告知は主にブログ。Twitterで仲良くなったお客さんも参加します。バラ塾の参加者同士もTwitterやFacebookでつながっていて、クチコミで誘い合って参加するケースも多くあります。地元の埼玉からの参加が多いですが、首都圏をはじめ、秋田や奈良から来られるお客さんもいます。
Twitterのフォロワーは1,700人ほど(2013年6月時点)で、ゆっくり増えています。木村さんがフォローするのは個人のバラ愛好家ばかりで、いわゆる「フォロー返し」を狙ったフォロワー稼ぎのようなことは一切やりません。
Facebookについては、Twitterとはまったく異なる使い方をしています。Twitterは国内のバラ愛好家向けなのに対して、Facebookは「海外の人とつながれるツール」になっていて、お店のページを見た海外の人から「このバラをください」と言われることもあるといいます。
具体的に何をどうしているかというと、Facebook上にある世界的なバラのコミュニティに、一人の「育種家(バラの品種を開発する人)」として参加して、「こんなバラをつくりました」といって写真とお店のページURLを投稿しているのです。
(次ページヘ続く)
あのお店はなぜ消耗戦を抜け出せたのか
本コラムが、大幅加筆修正で書籍化決定!EC業界だけでなく、消耗戦を抜け出すための具体的な方法と、そうしたことを実践している12の事例を紹介します。
※詳細はこちら
「楽天大学学長が語る「EC温故知新」」バックナンバー
- なぜ銀座の新商業施設が「壁紙屋」に出店オファーをしたのか?(2015/1/07)
- 送料有料でも「Amazonが気にならない」書店と、「160個入りの卵」が業者向けではなく売れていくお店が明かす「消耗戦の抜け出し方」。 ——楽天EXPOパネルディスカッションレポート2(2014/8/06)
- 「楽天市場ショップ・オブ・ザ・イヤー受賞の老舗」が明かす、消耗戦の抜け出し方とは? 楽天EXPOフォーラムレポート(2014/7/30)
- 一目見たら欲しくなって買ってしまう人が続出の「キケンなハンコ屋」がSNSでシェアされる理由とは?(2013/9/03)
- 大手メーカーが「既存の流通との軋轢」を避けてネットで直販する方法とは?(2013/8/20)
- なぜネットで「部屋の壁紙」が月商1億円も売れるのか?(2013/8/06)
- なぜ半額セール中に、値引きなしの高額日本酒100本が7時間で完売したのか?(2013/7/23)
- 広島の書店が、大手ネット書店と戦わずに売上を伸ばした方法とは?(2013/7/09)
新着CM
-
マーケティング
充電で乗り換え喚起 アウディ ジャパン、電気自動車向け拠点の日本1号店
-
AD
宣伝会議
【広報部対象】旭化成のグローバル社内イベント成功事例を紹介
-
クリエイティブ
品が良すぎる漫才(有元沙矢香)コピー年鑑2023より
-
広報
SNSの声を広報としての判断軸に活かす(広報担当者の情報インプット術/ヘラルボニ...
-
AD
マーケティング
ブランドスローガンやコンテンツの価値を、広くユーザーに届けるには
-
広報
モビリティサービス協会設立、業界の垣根を越えルール作りや提言
-
販売促進
「脳トレ」でドライバーの健康増進、損害保険ジャパン 「運転脳トレ」のNeUと提携
-
AD
特集
【Ayudante主催】デジタル時代のマーケティング活用セミナー
-
クリエイティブ
デコンストラクションで浮かびあがった9つの視点(木村健太郎)~『世界を変えたクリ...