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コラム

2013年、ソーシャルウェブの歩き方

「日」から「時間」。「時間」から「分」さらに「秒」へ――ソーシャルの進化は、フローのスピードアップの歴史。

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前回はウェブサービスを運営していく上では、データドリブンと感性の組み合わせが重要だ、という話を書きました。第5回となる今回はウェブサービスにおける「フローとストック」について書いていきます。

ソーシャルの進化と二人三脚で発展したフロー型

様々なウェブサービスがありますが、その分類方法の一つに「フローとストック」という視座があります。フロー型サービスの特徴は早いスピードで情報がシェアされ、そこではリアルタイム性が重視されます。逆に集積されているコンテンツをベースにサービスを提供しているのが、ストック型です。

インターネット上でストック、フローという言葉が使われはじめたのは、おそらくブログがポピュラーになってきた2005〜06年あたりでしょうか。ブログをWikipediaと比較し、「Wikiはストック性が強く、ブログはフロー性が強い」という風に言われていたことを記憶しています。Twitterが人気を博しはじめたあたりからは、ブログはむしろストック型と言われ、対してTwitterがフロー型サービスの代表格になりました。

日本においては、その後Facebookがフロー型のサービスとして頭角を表し、そして現在はLINEがフロー型の先鋒を走る、という状況になっています。どちらかといえば、当初はストックコンテンツの海だったインターネットの世界にソーシャルが登場し、さらにその進歩とともに時系列を重視するフロー型モデルも二人三脚で発展してきたと言えるでしょう。

ソーシャルサービスの進歩の歴史とは、フローのスピードがどんどん増していく歴史とも言えます。ブログでも、モバイルの隆盛とともに更新頻度があがり、そしてそのトレンドがTwitterへと移行し、更新の単位が「日」から「時間」になり、「時間」から「分」「秒」になっていきました。LINEの「既読機能」もフローの単位を細かく刻むのに重要な役割を果たしています。LINE疲れの原因と言われようとも、あの機能があるからこそ、「早く返事をしないといけない!」という意識をユーザーに持たせ、結果的にコミュニケーションの速度をあげることにつながっているのです。はい、正直疲れますよね。

ちなみに雑誌ではこの単位が「月」や「週」、新聞だと「日」になりますが、ネット世界のフローのスピードアップともに、これらメディアのリアルタイム性という部分の価値が相対的に下がっていったのは、みなさんご承知の通りです。この1年、日本ではTwitterからFacebookに移行したユーザーも存在しますが、それは、この「刻み」に対する多少の振り戻しかもしれません。同時にこの現象は、パブリックな世界から知人周りで限定されたコミュニティへの情報の共有範囲の振り戻しでもあって、LINEに関しては完全に知人間のクローズドなネットワークとして機能しています。更新頻度の刻み方、情報の共有範囲とも、より細かくてより広い方が一見便利な世界ではありますが、一旦そっちに動きつつもそこに疲れ、振り戻しが起こるというのはこれまた非常に人間的な感覚で、インターネットとはあくまで人間のツールなのだと改めて思い出させてくれます。

フロー型のサービスのカウンターとして、ストック型のサービスもさまざまな形で進化を遂げています。ストック型のサービスとしてはWikipedia以外にも、YouTube、食べログ、クックパッド、nanapiなどが挙げられます。データベースを充実させ、必要に応じてユーザーがアクセスするという構造のモデルです。主にユーザーに投稿してもらうことでデータベースの充実をはかり、SEOに力を入れ検索流入をいかに高めていけるか、というのがこのモデルの基本形態です。

リアルの世界では(相対的に)雑誌、新聞はフロー型だという事例を先に挙げましたが、究極のストック型は辞書になります。期間限定のメディアである雑誌と違い、必然的に販売期間は長くなります。ちなみにNAVERまとめもベースはストック型のモデルですが、同時にニュース速報的なまとめも人気を集めており、リアルタイム性も重視、かつフローの要素もあわせ持ったサービスとなっています。まとめ分野に関しては、ちょうど数日前にFC2も参入を発表し、非常にホットな分野となってきています。

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