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コラム

ニューヨーク突撃記 PARTY NYCの挑戦

落ちゲー「Candy Crush Saga」が教えてくれた、日本の鎖国状態

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今回は、なぜ私が、PARTYがニューヨークで仕事をすることにしたのか、そんなことを書いていきます。

「ニューヨーク突撃記」とか言っておいて、話は台湾から始まります。

2013年3月。昨春のことになります。台湾で行われた広告系のセミナーに、講師として呼んでいただきました。

行ったことがある方はよくご存知かと思うのですが、台湾という国は、かなり日本と共通するものが多い国です。まず、日本のように、街のそこかしこにコンビニがあります。そしてそのコンビニにおでんが売っています。そのおでんの具は微妙に違ったりしますが、そのあたりの生活の基盤にある構造が、かなり共通しているのです。

実際、日本の西表島からちょっと行けば台湾だったりするわけで、それは当然のことなのかもしれません。

だから、台湾は、自分にとって「外国」という感じがそんなにしない場所でした。

事件はその台湾で起こりました。台湾の皆さんは本当に親切で、毎晩のようにいろいろな場所に連れて行ってくれます。ある日、友人のMouse氏(台湾のデジタルエージェンシー「WebGene」の社長)と火鍋をつつきながら、雑談していました。

その中で、「いま台湾で流行っているソーシャルゲームって何?」という話にたまたまなったのです。

これが「Candy Crush Saga」。とにかく、世界どこに行っても流行っている。

そのとき、彼が教えてくれたのが「Candy Crush Saga」でした。私はその場でiPhoneに「Candy Crush Saga」をインストールし、遊び始めました。それがきっかけで、自分が半年後にニューヨークに移住することになるとは、全く思っていませんでした。

「Candy Crush Saga」は、単純に同じ色のキャンディを3つ以上揃えて消していくという、いわゆる落ち物系パズルゲームです。うまくできているのが、Facebookと接続することで、Facebook上の友達が何面までクリアしているかが明確にわかるというところです。

先述のMouse氏は、私がこのゲームを始めた当初、遥か先を行く雲の上の存在でした。彼だけではなく、台湾で流行っているというだけあって、台湾の友人たちはみんな、遥か先を行っていました。

私は、時間さえあればこのゲームに没頭しました。とにかく台湾のみんなを見返したい。日本人の底力を見せてやりたい。そのためにはいくら課金しても構わない。いくら使ったかわかりませんが、やがて彼らの背中が見えるくらいにはゲームを進めることができました。

数日後、今度はカナダのトロントで行われたテクノロジーのカンファレンスで話をすることになり、カナダに行きました。

日本と同様に、街中でスマートフォンをいじっている人は多いわけですが、ちょっと画面の中を覗くと、「Candy Crush Saga」をプレイしているのです。「あれ?」と思いました。

5月に入ってようやく、日本にも「Candy Crush Saga」をプレイする人が増え始めました。私は3月から始めて、課金を繰り返していたため、周囲の日本人の中ではぶっちぎりにトップを走る存在でした。

しかし、自分の周りを見回すと、日本人以外の友達が、ハイレベルな戦いを繰り広げています。「あれれ?」と思いました。

6月にカンヌ国際クリエイティビティフェスティバルのセミナーでお話する機会があり、ヨーロッパに渡りました(いろんなところでお話してばかりのように見えると思いますが、ちゃんとものもつくっています)。

その直後に、ベラルーシ(!)の広告祭に招待いただいて、そこでもお話する機会があったので、カンヌを早々に切り上げて、お休みを頂き、列車でベラルーシに移動することにしました。一部だけ飛行機を使いましたが、ほぼ3日くらい、ほとんどの時間を列車の中で過ごしました。

しかし、時代は2013年、乗客の皆さんはみんなスマートフォンをいじくっています。そして画面の中をのぞくと、「Candy Crush Saga」なわけです。しかも結構進んでいるっぽい…。「あれれれ?」と思いました。

その頃には私の「Candy Crush Saga」のマップ(他のユーザーのレベルを一覧することができる)には異様な光景が広がっていました。

次ページ 「Candy Crush Saga」のマップに広がる異様な光景とは