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コラム

朝日新聞10年生記者、ビジネスに挑む

「ネットは荒れるでしょ?」と言われても、外の声を聞きたかった

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文字以外で、ニュースを伝える方法

外の人を巻き込む手法は、本業の報道の方でも採り入れています。朝日新聞は2月20日、3月1日からの2日間の2回に分けてデータジャーナリズム・ハッカソンを初めておこなう予定です。

データジャーナリズムとは、行政の公開データ、新聞記者が集めた取材データを分析し、統計を使いながら、かっこいいグラフィックで見せて社会的な課題を浮き彫りにする手法。成果物は朝日新聞デジタルで発表され、MITメディアラボとのシンポジウムでの報告もあります。

朝日の外部からデザイナーやエンジニアを募集し、朝日の記者が編集部を飛び出して、みんなとディスカッションしながらデジタルらしいニュース表現を模索する試みです。

先週のコラムでお伝えしたように、メディアラボはすでに出資や投資を実施中で、今後も商品開発や新しいメディアの方法を模索しています。

私は少し案件を整理し、動画事業を深掘りしたいと思っております。社会の様々な出来事。人知れず、熱い思いで活動をしている社会人や学生。ちょっと難しいけど、生活が豊かになる情報。すべてを「動画」で表現できたら。強い気持ちを持っています。

新聞記者として「文字」を武器に仕事をしてきました。自分が書いた少年犯罪の記事を読んでくれた少年院の男性から手紙をもらったこともありますし、育児休暇について提言をした私の記事を取っておいた会社員から「勇気が出ました」と連絡をもらったこともあります。

私も、息子が生まれた2008年、4カ月の育児休暇をとりました。記事を書いて感想をもらい、さらにその感想が自分の人生を変える経験は何物にも代え難いです。

でも動画なら、もっと可能性が広がると思います。5歳になった息子の様子を見ていても、わかります。

あるときからiPhoneをいじるようになり、音声検索も覚えました。漢字が動物に変形するオモチャ「もじバケる」で遊んでいる様子を一般の人が写した、ネット動画がお気に入り。スーパーで売っているような安価なオモチャです。

テレビのコマーシャルと違って、投稿者は商品に文句も言う。途中で関係ないことを話し、脱線する。息子はテレビより、こういった動画をみて笑ったり、「欲しい」「買って」と言ったりする。

外に向かって問い掛けた「朝日新聞は、どう変わればいい?」

1月23日、私は、無料のオンライン動画「スクー」の生放送に出て授業をして来ました。「schoo」と書きます。学校を意味する英単語「school」の最後の「l」だけがない。学校に終わりを作りたくないという思いでリクルート出身の27歳の起業家、森健志郎さんが2012年に立ち上げました。

「スクー」のネット授業風景。右側に顔写真付きの視聴者コメントが流れる。

「スクー」のスタジオ。机と椅子とカメラ数台。シンプルな機材で、生放送番組ができてしまう。

授業は、パソコンだけではなくスマホやタブレットでも見られます。先生役は大学の偉い教授や、テレビでお馴染みの有名人とは、ちょっと違います。ウェブデザイナー、起業家、若手公認会計士、おもちゃメーカーの社員、エンジニア。会社の先輩や気が利く上司が画面に出てきて一緒に考えてくれるような授業が多いのです。

カルチャー教室や飲み会の代わりに、仕事からフッと離れてiPadミニで授業を受ける。なんだか自分が変われるような、仕事に工夫をくわえて明日からがんばれそうな気持ちになります。先生は300人以上、生徒(会員)は6万人。授業はほぼ毎日生放送。学部生(有料会員)になれば、生放送の番組を後日、録画で見返すことができます。

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