井上 孝夫氏(新潮社 校閲部長)
一般企業の社員の皆さんが校閲をするために
会社の内外に発表する文章。それに誤植があったらどうしよう、事実誤認があったらどうしよう。悩んでいる会社員は多いんじゃないでしょうか。
こんな時、出版社や新聞社の校閲者が「こうせよ」「ああせよ」と、専門的なアドバイスをしても実際の役に立たないことは想像できます。俺たちは、専門で日がな一日文章を読んでるわけじゃない、他の業務もある、接待もある、外を駆けずり回っていて落ち着いて文章を推敲したりしている暇なんか無いんだ。
こんなふうに感じられる向きもあるかと思います。しかし発表された文章を読む世間の人にとってはそんなことは知ったことではない。間違いがあれば「ああ、いいかげんな仕事だな」、事実の間違いがあれば「何も調べてないのか!」。
どうしたらいいのでしょうか。細かいことを言っても実践できませんから、大づかみに対策を考えてみましょう。
(1)文章チェックのために
言葉遣いの間違いを無くしたい。「そんな言い回しも知らないのか!」とは言われたくない。もっともな話です。それにはどうするか。
・言葉遣いを指摘する年齢層はどのあたりか?
これはかなり重要な問題です。恐らくシニア世代より上、50歳以上の年齢層を考慮すべきでしょう。彼らはいかなる根拠に基づいて誤りに気づき、指摘してくるのか。