鈴木健(ニューバランス ジャパン マーケティング部長)
【前回のコラム】「コンテンツとメディアをめぐる ” 冷やし中華はじめました ″――「ネイティブアド」」はこちら
オンラインとオフラインをつなげる「O2O」
デジタルマーケティングの用語の概念は少なからずデジタルの世界だけでなく、現実の世界も変えていきます。そのことが最も実感できるのは消費者との距離が近い業界です。メディアはもちろんですが、その意味ではメーカーよりも流通企業がもっとも影響を受けています。
日本ではその流通での変化をO2Oという言葉で言い表します。これはオンライントゥオフラインの略語で、オンラインからオフラインへの行動を促す施策を指しますが、その逆でオフからオンへの意味でも使うことがありますので、要はデジタルとリアルをどうつなげるかというマーケティングの考え方を示しています。
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「そんなものは昔からあるよ」と言う声が聞こえそうですが、O2Oという言葉はなぜか日本で流行っていて、欧米ではあまり聞かれません。欧米ではむしろオムニチャネルという言葉を使います。ただしO2Oは広い業種で使いますが、オムニチャネルは流通企業に特有のマーケティング用語のようです。この言葉をもとにオフラインとオンラインの関係を考えていきましょう。
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オムニはマルチの延長ではない
オムニチャネルの前に、よく使われていたのはマルチチャネルという言葉です。これは流通で言えばリアル店舗以外にインターネット上の流通であるEコマースを別のチャネルで展開するような、マルチ=複数のチャネルを持つという意味です。
メディアのマーケティングで言えばデジタルは前回話したとおりトリプルメディアを通して複数のオフライン、オンラインメディアを活用するのでマルチチャネルと言えなくもありません。
また最近ではデジタルでもPCに加えスマートフォン、タブレットのような複数のデバイスにまたがってメディアを管理するという意味では、このマルチチャネルという言葉はしっくりきます。しかし、オムニチャネルはマルチ(複数)とは違います。
ある本ではオムニを「無限の」と翻訳していましたが、いくら数が増えてもマルチチャネルはマルチチャネルです。オムニとは「上に」という意味です。このオムニという接頭辞は英語でときどき「天上の」とか「神の」と訳す場合もあります。これはマルチとは根本的に異なる言葉なのです。
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