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森永真弓さんに聞きに行く「自分で手を動かす人の仕事術」(前編)

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森永:一緒に作っていく「協働」するっていう感じかもしれないですね。前職でITコンサルをやっていたときの考え方が役に立っているなぁと感じる場面が最近増えたんですよ。それは、「クライアントが言っていることが必ずしも本当に求めている要件だと思うな」というものです。

クライアント担当者がシステムに詳しくない状態で「欲しい」と言っているものが、必ずしもその会社の悩みに応えるものかどうかは分からないんですよ。他にもっと良いものがあるかもしれないんです。

なので、こちらがITコンサルが提供すべきことは、クライアントはどんなことで困っていてどんなものを必要としているのかをしっかり聞いて、理解し、それに対してプロとして最適の選択肢を提示する、そして使ってもらいながらさらに水面下で発生している問題を察知して改善し続けることが大事ということです。

つまり、コンサルに求められる能力はヒアリングだという話です。

これはまさに、ソーシャルやデータベースなど次々にデジタルに関わる新しいことが出てきたことによってクライアント側も混乱しがちな状況に似ているなと。

フェイスブックやりたい!ビッグデータ解析したい!って口では言われたけど、そこに至るまでの本当に悩みはなんですかと。そういう人たちに言われた通りのものを提案するのは課題の解決にはつながらないので、きれいに完成した提案を持っていくのではなくて、話を聞いて悩みを共有する。なるほど本当の悩みはそこでしたか、じゃあこういう企画はどうですか、こういうことは増えてきている感じはあります。

廣田:僕も、NHKにいたときは、ディレクターとして毎日取材に出かけていました。当時は席に座っていると取材をしていない、さぼっていると見られる文化がありました。なので、今も気になることがあったり、面白そうな方がいたら、まず、とりあえず会いに行って、話を聞くところから始めようと考えるんですね。その経験は今の仕事にも生きています。

違う会社での知見を持っていることは、仕事で面白い提案をするためにとても生きると思います。競合プレゼンで、ばしっと作り込んで、見積もりで競うというスタイルから、クライアントと、形のない所から一緒に創っていくという感じにビジネスのプロセスも変わってきているなと、非常に感じています。

森永:競合プレゼンって納品文化の象徴だと思います。その時点での納品をしてください、そこから選びますということだと思うんですけど、データとかソーシャルの話は導入してからが大事なので、既存の競合プレゼンの枠にはまりにくいですよね。

それから、私が気をつけているのは、「頭の良さそうな提案資料」を目指さないことです。データ解析周りの話になってくると、ついつい小難しく頭良さそうに見せるプレゼンを目指しがちなんですけど…まあ実際そういう資料でプレゼンして、相手がほうほうってメモ取ってくれていたりすると、自分が賢くなった気分になれて気持ちはいいんですよね。

でも、頭脳明晰な提案や資料が欲しいなら、クライアントはコンサルとか総研とか真面目できっちりしている人たちに仕事を頼むんじゃないかなぁって。

そんな中なぜ、広告会社に声をかけたのかということをわきまえなくっちゃなと考えてます。一緒に仕事をして面白いとか、資料が楽しいといった面白さや楽しさみたいなものを期待しているはずじゃないかと。

だから、資料やプレゼンを考える時、要件には応えた上でさらに分かりやすくとか面白くとか、そういうことを加味してこそ広告会社としてのプロの仕事だろう、ということを心がけています。

とはいえ私自身が面白い人間だとは全く思わないですけど、コミュニケーションのプロたる広告会社の人がつまらない、分かりにくい、むつかしいって、きっと限りなく最悪に近い評価だと思っているので、なるべくそうならないように頑張っています。

(後編へつづく)

※本対談記事のダイジェスト版を「ウェブ電通報」でも掲載。


森永真弓(もりながまゆみ) 氏
博報堂DYメディアパートナーズi-メディア局
通信事業会社を経て、2001年博報堂に入社。インターネット領域、特にソーシャルメディアを中心とした生活者・メディア動向の研究やシステム開発、コミュニケーションビジネスに携わっている。WOMマーケティング協議会理事。自称「かろうじてコミュニケーション力がある方のオタク」。

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